1999 Fiscal Year Annual Research Report
粒子の衝突帯電における電荷移動プロフィールのマイクロ秒分割による解析
Project/Area Number |
11650780
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 弘昭 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 博之 京都大学, 工学研究科, 助手 (90303867)
田之上 健一郎 京都大学, 工学研究科, 助手 (70293892)
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Keywords | 衝突帯電 / 粉体 / 微粒子 / 静電気 / 電荷移動 / 弾性変形 / 接触面積 / 過渡電流 |
Research Abstract |
粉体のハンドリングにおいて、粒子は装置壁と衝突し帯電する。粒子の帯電は輸送管の閉塞、粉塵爆発といった工業的にはネガティブな現象を引き起こすばかりではなく、近年では静電気粉体塗装といった有効利用も行われている。しかし、このような諸問題を解決するためには、帯電の原因、とくに衝突帯電機構を解明することが重要である。衝突帯電機構は衝突素過程に大きく依存していると考えられる。具体的には、粒子の接近時および離脱時に生じる誘導電荷、衝突時の粒子・ターゲット壁面の変形状態、接触面積および圧力などの経時変化、接触電位差、に依存していると考えられ、これらを総合的に考慮しながら衝突時の電荷移動を解明する必要がある。しかし、従前の研究は、衝突前・衝突後における帯電量の変化を計測したものがほとんどであり、衝突時に微弱で瞬時に完了する電荷移動そのものを計測した例は少ない。本研究では、超高速電流測定システムを開発し、定量的な衝突帯電機構の検討を行うことを目的とした。 <実験装置の試作と性能評価>粒子を金属ターゲットに衝突させたとき、金属ターゲットに誘起される電荷は微弱でありかつマイクロ秒オーダーで変化するためこれを捉えることは非常に困難を伴う。そのため次のような測定装置を試作した。金属ターゲットは超高速電流プリアンプを介してアースされている。超高速電流プリアンプの信号は、バンドパスフィルターを介してコンピュータに接続された超高速デジタルオシロにとりこまれ、デジタルデータとしてパソコンに保存される。本測定装置によって金属ターゲットに微弱で瞬時に誘起される電荷を時々刻々捉えることができる。つまり粒子の接近時および離脱時に生じる誘導電荷、衝突時の粒子・ターゲット間の電荷移動を時々刻々捉えることがほぼ可能となった。これを用いて実際にピンボール程度の球から数百ミクロンの粒子の衝突実験を行い性能を評価した。 <基礎物性の測定>帯電特性評価のための基礎物性として、試料粒子および金属ターゲットの接触電位差、粒子の力学的強度を測定し、粒子の接触状態と電荷移動を関係づける理論を構築するための準備を行った。
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