1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換えイネ細胞による難治性疾患治療用タンパク質の大量生産に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11650821
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
寺嶋 正明 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (30172092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 弘之 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50081360)
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Keywords | 植物細胞培養 / イネ細胞 / α_1-アンチトリプシン / 組換えタンパク質 / 分泌生産 / 治療用タンパク質 / 遺伝子組換え / ヒトタンパク質 |
Research Abstract |
遺伝子組換えイネ細胞培養によるヒトα_1ーアンチトリプシンの分泌生産に及ぼす培養条件の影響を検討した。本発現系ではイネαーアミラーゼのプロモーターを利用しており、培地中の炭素源が枯渇するとヒトα_1ーアンチトリプシンを生産する。糖を含む培地で細胞を高密度に増殖させた後に、生産を開始させられるという利点を持つが、細胞はエネルギー源の補給なしに組換えタンパク質の生産を行わなければならない。細胞を装置内にとどめ、新鮮培地を連続的に供給し、同時に培養液を排出させる流通式連続生産系を構築し、ヒトα_1ーアンチトリプシンの生産性を上げるために種々の培養条件の検討を行った結果、以下の点が明らかとなった。 (1)供給培地中のグルコース濃度によって、α_1ーアンチトリプシンの生産性は大きく変化した。グルコース濃度5.0mMでは細胞内の糖濃度が高く維持されるため、生産までの誘導時間が長く、生産量も低い値を示した。一方、0.5mMの条件では誘導時間も短く、従来の糖を加えない生産方法の2倍の生産性が得られた。 (2)イネαーアミラーゼのプロモーターを抑制せず、エネルギー源として働きうる炭素源を探索した結果、ピルビン酸が目的の効果を示すことが明らかとなった。40mMピルビン酸を含む新鮮培地を供給することでα_1ーアンチトリプシンの生産性は従来法の2-3倍に増加した。 (3)遺伝子組換えを行っていないイネ細胞の増殖特性を検討した結果、比増殖速度(μ_r)0.32[d^<-1>]を得た(スクロース濃度30g/L)。これは増殖速度が大きいtobacco細胞、Cathranthus roseus細胞と同程度の値である。
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