2000 Fiscal Year Annual Research Report
携帯用反社会性ドラッグチェッカーの開発を目指した基本特性の確立
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11650838
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
浅野 泰一 八戸工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (80311108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部井 久男 NTTアドバンステクノロジ株式会社, 先端基盤技術事業本部・デバイス技術部・材料部門, 部門長
伏貫 義十 鹿児島県警察, 科学捜査研究所, 化学部長
正留 隆 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30190341)
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Keywords | 覚醒剤 / ドラッグチェッカ / 携帯用センサー / 表面プラズモン共鳴センサ / 尿 / メチルアンフェタミン / 裁判化学 |
Research Abstract |
近年、薬物乱用問題は、我が国において、より深刻になってきている。この問題を解決するために、薬物を簡便、迅速に分析す出来るフィールド捜査用機器の開発が要望されている。法科学の分野においては従来、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、可視、紫外吸光光度計、エンザイムイムノアッセイ、ラディオイムノアッセイ、ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いてこの薬物の分析が行われてきた。しかしながら、これらの機器を用いる分析は定性、定量分析に一連の多くの操作を必要とするため、非常に煩雑で,フィールドに於ける科学捜査向きでない。最近法科学の分野で注目を浴び、今後最も期待される方法の一つとして、抗原-抗体反応に基づく光共鳴角の変化を検出原理とする表面プラズマ共鳴現象(SPR)がある。この現象は覚せい剤などの法規制物質を簡便、迅速に分析に利用できる可能性を持っていると考えられ、我々はこの現象をフィールド調査用覚醒剤分析法に応用することを,本研究において検討中である。 前年度は,SPR計測システムを構築して,カラム法によるメチルアンフェタミン(MA)選択分離の可能性を検討した。12年度は,MAの抗原-抗体反応を利用したシステムを検討した。検討結果の概要は,次ぎの通りである。 1.金表面へのドデカンチオールによるMA-抗体の修飾:まず最初にリン酸緩衝液(pH=7.2)にドデカンチオール5mM含む溶液を金センサに毎分5mlの割合で流し,ドデカンチオールを金表面に修飾した。次ぎに5mM MA-抗体を同様の方法で流し,ドデカンチオールにMA-抗体を化学修飾して,MA用感応膜とした。 2.MAの高分子化:MAは分子量が150と小さく,抗体の分子量に比べて圧倒的に小さいため,SPR信号が小さく,け識別することが困難であることが予想されたため,抗体と同レベルの分子量を持つようにMAの誘導体を合成してこれをMAの検出に用いることにした。 3.MA誘導体-MA抗体免疫反応を利用するMA計測手法の確立:合成したMA誘導体を用いて,サンプル中のMAとMA誘導体の競合反応によりMAによるSPR信号を識別することを試みた。即ち,サンプル溶液中に一定量の合成したMA誘導体を混合液にとMAを注入すると両者間で競合反応が生じ,金センサ上で,ブランクとサンプルの間でSPR信号の差が認められた。現在,MA誘導体・競合法によるMA検出の可能性を検討中である。 4.科学捜査用SPRセンサセルの開発:フィールド調査のためのセンサと測定容器を兼ねるセンサセル(14φx35mm)の設計試作を行い,6φ金蒸着カバーガラスを用いて,SPRセンサを開発した。 5.特許出願:昨年度開発したPVC光インターフェース膜(特願2001-015558)とセンサセルとホルダー(特願2001-015576)に関して特許出願を行った。
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