2000 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロ酸層状化合物を前駆体とした機能性電子材料の創製
Project/Area Number |
11650860
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
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Keywords | グラファイト / 層状化合物 / 層間化合物 / フッ素 / フッ化物 |
Research Abstract |
無水フッ化水素の存在下、グラファイトと単体フッ素ガスとの室温反応により合成されるフルオロ酸層状化合物であるフッ素-グラファイト層間化合物(フッ化グラファイト)に関し、本年度は特に熱分解生成物の分析を行い、分解機構を検討した。 半イオン結合型のフッ化グラファイトの熱分解はフルオロカーボンガスの放出を伴うが、分解過程で化合物中の炭素-フッ素間の半イオン結合が共有結合へと変化することが確認された。放出されるフルオロカーボンガスは反応性に富み、その主成分はジフルオロメチレン(:CF_2)であると考えられる。このガスの一部は、発生後直ちに未分解のフッ化グラファイトと反応してテトラフルオロメタン(CF_4)を生じるものと思われる。一方、残りのガスは反応容器の内壁表面で起こる反応で消費される。反応容器内の高温部分では、不均化反応により炭素の堆積膜および気体のパーフルオロアルカンを生じる。また低温部分では、ガスの重合反応によりフルオロカーボンの堆積膜を生じる金属硫化物の存在下でフッ化グラファイトが熱分解する場合には、発生するガスと金属硫化物との反応により生じると思われるチオカルボニルフルオライド(CSF_2)や二硫化炭素(CS_2)が検出される。 本年度に扱った第一ステージ構造の半イオン結合型フッ化グラファイトの熱分解では、高次ステージ構造の化合物の熱分解の際に報告されているステージ数の増加は生じない。X線回折測定により、熱分解途中の試料はグラファイト構造の残留炭素と未分解の第一ステージ化合物の二相混合物であることが確認された。残留炭素の結晶性は低く、隣り合う炭素層間の距離はホストのグラファイトに比べて14pm大きい。残留炭素の物理的性質に関しては、次年度でより詳細な検討を行い、工学的応用を模索する予定である。
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Research Products
(1 results)