2001 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロ酸層状化合物を前駆体とした機能性電子材料の創製
Project/Area Number |
11650860
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
|
Keywords | グラファイト / 層状化合物 / 層間化合物 / フッ素 / フッ化物 |
Research Abstract |
フッ化水素HFの存在下でのフッ素-グラファイト層間化合物(フッ化グラファイト)の生成反応は、初期段階でバイフルオライドイオンHF_2^-の高次ステージ層間化合物の生成を経由する。炭素-フッ素間に安定な半イオン結合が生じると、層間に残されたHFの大半は放出されるが、一部は化合物との間の比較的強い相互作用により層間に留まる。本年度はフッ化グラファイト層間のHFが化合物の構造・物性に及ぼす影響について検討を行った。第1ステージ構造のフッ化グラファイトに対し、減圧下250℃前後での加熱保持と室温下で無水HF中への浸漬操作を行うことにより、化合物層間でHFの放出・挿入が繰り返される。これに伴い層間距離が20-40pm減少・増加し、赤外吸収スペクトルにも変化が見られた。導電率については、層間にHFが存在する場合は10^<-8>Scm^<-1>程度で、層間にHFが存在しない場合に比べておよそ一桁小さく、また不純物型半導体的な温度依存性がより顕著である。HCl等のプロトン酸やBF_3、SiF_4等のルイス酸についてもフッ化グラファイト層間への挿入を試みたが、いずれも反応せず、分子体積や極性の大きさなどの要因で挿入種が制限されるものと考えられる。 以上に加えて、昨年度に続き第1ステージ構造のフッ化グラファイトの熱分解生成物の分析も行った。X線回折図形の解析により求められるグラファイトのa軸、c軸方向の結晶子サイズLa、Lcについては、フッ化グラファイトの合成に使用した炭素材料がいずれも100nmより大きい値であるのに対し、化合物の熱分解により得られる残留炭素のLa、Lcはそれぞれ50、5nm程度に減少した。フッ化グラファイトの生成および熱分解の過程で、結晶内に多数の欠陥が生じてより小さな結晶子に細分化されるものと考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yuta Sato: "Thermal decomposition mechanism of fluorine-graphite intercalation compounds"Carbon. 39. 954-956 (2001)
-
[Publications] Yuta Sato: "Thermal decomposition of 1st stage fluorine-graphite intercalation compounds"Journal of Fluorine Chemistry. 110. 31-36 (2001)