1999 Fiscal Year Annual Research Report
典型金属アルキニルメタルの新規反応性の解明ならびに有機合成への利用
Project/Area Number |
11650892
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30135628)
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Keywords | カルベン / カルベノイド / 挿入反応 / 環化反応 / アルキン / アルキニルメタル |
Research Abstract |
1.アルキニルリチウムの環化反応によるシクロペンチリデンカルベンの発生:1-ヘキシン誘導体により調整したアルキニルリチウムの環化反応を取り上げ、発生したカルベンをオレフィンにより捕捉することにより、カルベン発生の最適条件を検討した。その結果、脱離基としてはアリールスルホン酸エステルやヨウ素が、分子内反応と競合するα位での分子間カップリング反応の抑制し、良好な結果を与えることがわかった。また各種置換誘導体やヘテロ原子を導入した誘導体に関しても本反応が適用できることがわかった。 2.シクロアルキリデンカルベン発生の検討:前項の最適反応条件を用いて鎖長の異なるアルキニルリチウムの環化反応を検討した。その結果、ブチニルリチウム誘導体の環化により、従来法では発生困難なシクロプロピリデンカルベンの発生が可能であることがわかった。また、六員環の形成反応も効率的に進行することも明らかとなった。 3.分子内C-H挿入反応による多縮環系炭素骨格の効率的合成:アルキリデンカルベンは分子内の適切な位置にC-H結合が存在すれば、容易に分子内挿入反応を起こしシクロペンテン環を形成することが知られている。原料アルキンに側鎖を導入した化合物を合成し、環化反応を検討したところ、発生するカルベンの分子内挿入反応が位置選択的に進行し、多様な縮環系炭化水素が一段解の反応で効率的に合成できた。
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[Publications] Toshiro Harada: "Novel Homologation Reaction of Arylzincates Bearing a Leaving Group at the Ortho and Meta Position Derived from 5-Hexynyl Tosylates"J. Org. Chem.. 64. 8210-8213 (1999)
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[Publications] Paul Knochel: "Practical Approach in Organozinc Chemistry"Oxford University Press. 354 (1999)