1999 Fiscal Year Annual Research Report
面不斉を有するシクロペンタジエニル配位子を利用した新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
11650894
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片岡 靖隆 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90221879)
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Keywords | Cp'-P配位子 / ロジウム / アルキン / 立体特異点 / 位置選択的 / アルケニル錯体 / カチオン性 |
Research Abstract |
本研究はCp'-P配位子を用いた遷移金属錯体を合成し、その錯体を不斉触媒反応に応用することを目的としている。本年度の研究計画では、Cp'-P配位子を有するロジウムカルボニル錯体を用いて、触媒反応の単位反応となる立体選択的な置換基の官能基変換反応を開発することであった。その結果、ロジウムカルボニル錯体からの立体特異的なアルケニル錯体への変換反応の開発に成功し、Cp'-P配位子が金属周りの立体を高度に制御できることを明らかにした。Cp'-P配位子を有するロジウムカルボニル錯体に1当量の銀塩を反応させると、カチオン性アルキルロジウムカルボニル錯体が定量的に得られた。このとき、ロジウム周り上に発生していた不斉点は全くラセミ化、または、エピメリ化していないことがわかった。次に、このカオチン性錯体にアセチレン化合物を反応させると、カチオン性アルケニルロジウム錯体が位置選択的かつ立体特異的に得られた。この時、アセチレン化合物の挿入方向は、その置換基の種類により影響を受けることがわかった。例えば、トリメチルシリルアセチレンを用いると、ロジウム金属部分は立体障害を避けて、炭素-炭素3重結合の末端炭素と結合をつくる。一方、フェニルアセチレンの場合は、Cp'-P配位子の電子的要因により、逆の位置すなわちより立体障害の大きな炭素と結合を形成する。どちらにしても得られたアルケニル錯体は1種類のみで、Cp'-P配位子により立体化学が完全に制御されていることがわかった。これまでの研究により、Cp'-P配位子を有する光学活性ロジウム錯体の合成に成功しており、今回、本反応条件下でロジウム周りの立体化学が制御されるという結果を併せて考慮すると、この錯体が金属上に発生した不斉点を用いた不斉反応の触媒となり得ることがわかった。
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Research Products
(1 results)