1999 Fiscal Year Annual Research Report
水田の環境保全と水稲の超多収を実現させるための戦略
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11660015
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鯨 幸夫 金沢大学, 教育学部, 教授 (20126577)
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Keywords | 溢泌液 / 環境保全型農業 / コシヒカリ / サイトカイニン / 多収穫 / 根 / F1品種 / ルビジウム吸収 |
Research Abstract |
本研究では、水稲の安定多収を維持しながらも外部環境に及ぼす負荷を極力少なくする栽培技術の確立を目指した。24年間豚糞堆肥を連続施用している水田で栽培したコシヒカリでは、慣行栽培(化学肥料)と比較して根系生育が旺盛であった。有機資材の連用により、土壌の物理化学性が改善され根の生育が促進されたものと考えられる。根の生理活性を示す指標として根系からの溢泌液量、根からのRb吸収量および溢泌液中のサイトカイニン(t-ZR)含量をELIZA法で測定した。1株あたりの溢泌液量と茎数および地上部乾重との間には正の相関関係(r=0.75,r=0.79)が認められた。有機栽培コシヒカリ(豚糞堆肥、カルス菌を用いて発酵させたボカシ有機堆肥)の1株あたりのRb吸収量は、株間および株直下20cmの位置で稲ワラ施用区より大きかった。不耕起移植栽培コシヒカリでは、株直下20cmでのRb吸収量が耕起区より大きく、根系の発達と根の活性の高さが推定された。土中打ち込み点播(直播)コシヒカリでは、株間の表層および株直下でRb吸収が多く根の活力は高いと考えられた。7月8日におけるサイトカイニン含量は、豚糞堆肥区で0.52pM/mlであり化学肥料区(0.8pM/ml)より低く、有機栽培によるサイトカイニン含量の増加はなかった。伊那市の多収穫コシヒカリ(823kg/10a)では、株間の表層に分布する根量が極めて多く、他の調査区の2倍以上であった。多肥施用と土壌の通気性の良さ(気相は20%以上)が、根系生育に大きく影響していると考えられるが、溢泌液中のサイトカイニン含量が1.6pM/mlと高く、根の活性も高いと考えられた。三井化学(株)育成のF1多収品種(MH2001,MH2003)を材料に用いて、LP肥料を施用した乾田不耕起栽培を行い多収性と根系生育の関係を検討した。出穂期における押し倒し抵抗値は高く倒伏耐性に優れており、根系もよく発達していた。LP肥料の環境効果と収量への貢献が期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yukio Kujira: "Japanese rice cv.Koshihikari grown in Ina city shown high grain yield with large and shallow root systems."Abstracts of 3rd ICSC (Germany). (2000)
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[Publications] 鯨幸夫: "F1水稲の乾田不耕起直播栽培に関する研究-地上部生育と押し倒し抵抗値-、"北陸作物学会報、. 36. (2000)
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[Publications] 鯨幸夫: "F1水田の乾田不耕起直播栽培に関する研究-根系の階層構造と溢泌液量-、"日本作物学会紀事. 69(別2). (2000)
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[Publications] 鯨幸夫: "水稲根系からの溢泌液中に含まれるサイトカイニン含有量"北陸作物学会報. 36. (2000)
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[Publications] 鯨幸夫: "コシヒカリの省力栽培に関する研究-不耕起移植栽培と土中打ち込み点播栽培-"根の研究. 9. (2000)
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[Publications] 鯨幸夫: "有機資材の連続施用がコシヒカリの生育、収量および根系の構造と機能に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 69(別2). (2000)
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[Publications] 鯨幸夫: "有機栽培を行ったコシヒカリの土壌中根乾重の階層分布および収量構成要素"根の研究. 9. (2000)