2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660061
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50157393)
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Keywords | ホウ素 / 細胞壁 / カルシウム / ペクチンメチルエステラーゼ / タバコ培養細胞 / ペクチン質多糖 |
Research Abstract |
ホウ素はカルシウムとともにペクチン質多糖をラムノガラクツロナン(RG)-II領域で架橋することに機能している。RG-II領域でのペクチン質多糖の架橋はホウ素だけでは完成せずカルシウムによって補強されることが必要である。つまりペクチン質多糖の架橋にはホウ素とカルシウムがともに存在していることが必要であり,それぞれ片方だけでは機能しない。カルシウムはガラクツロン酸残基のウロン酸同士を配位結合で架橋するが,架橋するためにはメチルエステル化されて分泌されてくるウロン酸メチルエステルを加水分解する必要がある。この加水分解を触媒するのがペクチンメチルエステラーゼ(PME)である。本研究ではタバコ培養細胞,ニンジン根,エンドウ胚軸の本酵素活性を性質を検討した。 いずれの材料でもほとんどの活性が細胞壁に会合して存在したが1M NaClによって可溶化された。ニンジン根の酵素は塩基性アイソザイムが少なく中性アイソザイムがほとんどであったが,タバコ培養細胞では塩基性アイソザイムが主であった。いずれのPMEも活性発現にCaが必須でKm値は約3mMであった。このCaはNaによって代替することができたがNaのKm値は約50mMと生理的な濃度ではなかった。CaはPMEの生成物であるウロン酸残基を架橋する元素であるとともにPMEの活性発現を通してペクチン質多糖の架橋に機能することが明らかになった。ホウ素はPMEの活性発現には関与していなかった。タバコ培養細胞細胞壁から抽出精製したPME塩基性アイソザイムのN末アミノ酸組成から本酵素のDNAクローニングをすすめている。
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