2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物性アレルゲンの糖鎖構造とアレルゲン性の関連性に関する研究
Project/Area Number |
11660129
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
辻 英明 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20093875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 真順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Keywords | wheat allergen / Tri a Bd 17K / Gly m Bd 28K / sugar chain / allergenicity / cDNA |
Research Abstract |
今日食物アレルギーは大きな社会問題となっている。食物におけるアレルゲンは次々に明らかにされ、その数は増加している。しかし、ラテックス・フルーツシンドロームに代表されるように、アレルゲン間には類似の構造が存在することが示唆されている。その一つとして、植物性アレルゲンにおける糖鎖が多くのアレルゲンにおける共通抗原性であることが報告されている。また、私たちも大豆アレルゲンGly m Bd 28Kおよび小麦アレルゲンTri a Bd 17Kの糖鎖がそれらに感受性を示す患者血清におけるIgE抗体と反応する可能性を示すデータを得ている。本研究では、この問題を検討するために研究を遂行し、以下のように幾つかの興味ある結果を得た。 まず、大豆アレルゲンGly m Bd 28KのcDNAをクローニングし、本アレルゲンはカボチャ種子のプロテイン体の膜タンパク質MP27/MP32と類似の機構で、プレプロプロテイン型として合成され、プロプロテイン型より本アレルゲンが切断されて合成されることが明らかになった。本cDNAを融合型タンパク質として発現されたものと患者血清のIgE抗体との反応性は大豆より精製した本アレルゲンが強く患者血清IgE抗体と反応したのに比べると著しく弱かった。この事実はGly m Bd 28Kの糖鎖は本アレルゲンの主要なエピトープであることを示すものである。一方、小麦アレルゲンTria Bd 17KをコードするcDNAを用いて大腸菌にて融合タンパク質として発現させ、本アレルゲンに感受性を示す患者血清におけるIgE抗体との反応性を検討したが、発現タンパク質は上述の大豆アレルゲンと同様に小麦粉より精製した本アレルゲンと比べて、著しく弱い反応性しか示さなかった。この結果も、この患者血清におけるIgE抗体の大半が糖鎖そのものと反応することを意味している。 以上の結果は、これらアレルゲンの糖鎖がそれらのアレルゲン性に深く関与していることを示し、上述したように、植物性アレルゲンにおける糖鎖は共通抗原として機能するという説を支持するものである。
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[Publications] M.Komoto et al.: "Identification of allergens in cereals and their hypoallergenization-II.Preparation of monodonalantibodies againstawheatallergen, TriaBd17K."Ann.Roport Interdiscipl.Res.Lnst.Environ.Sci.. Vol.18. 43-48 (1999)
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[Publications] M.Hiemai et al.: "Occurrence of IgE antilody-recognizing N-linked glycan moiety of a soybean allergen, GlymBd28K."Int.Arch.A/Lergy Immunol.. 122. 238-245 (2000)
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[Publications] H.Tsuji et al.: "Cloning of cDNA encoding a soybean allergen, GlymBd28K"Biochimica et Biophysica Acta. 1518・1-2. 178-182 (2001)
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[Publications] H.Tsiji et al.: "Allergens in major crops."Nutrition Research. (in press). (2001)