1999 Fiscal Year Annual Research Report
カニ体液中に存在するフグ毒結合タンパク質に関する研究
Project/Area Number |
11660201
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
長島 裕二 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (40180484)
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Keywords | イソガニ / 体液 / フグ毒 / テトロドトキシン / タンパク質 / 精製 |
Research Abstract |
イワガニ科のイソガニはフグ毒(テトロドトキシン,TTX)の体腔内投与に対して高い抵抗牲を示す。これは体液中のタンパク質成分がTTXと特異的に結合するためであるが,その本体については不明のままであった。本研究において,まず体液試料を限外ろ過,ゲルろ過,硫安塩析で分画したところ,いずれの方法においても従来報告されている成分(分子量2000k以上)に加え,分子量数百k程度の画分にもTTXと結合する成分が存在することを見出した。本成分はマウスに対するTTX致死作用を抑制する効果があることから,この"フグ毒中和効果"を指標にして精製を行った。種々検討の結果,イソガニ体液試料を限外ろ過,レクチンアフィニティークロマト(ConA-Sepharoseカラム),ゲルろ過HPLC(TSKgel G3000SWカラム)で順次精製してTTX結合性化合物を得た。本精製品をnative-ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析に供したところ,単一バンドとして検出され,TTX結合性化合物の単離が確認できた。各種カラムクロマトグラフィーにおける挙動から,本化合物の分子量400kと推定され,糖を含むことが示唆された。本結果によりTTX結合性化合物の精製法が確立されたので,次年度は(1)本化合物の物理化学的性状を調べ,(2)ペプチドマッピングを作成し,アミノ酸配列を測定する,(3)TTXとの結合部位ならびに結合メカニズムを明らかにする予定である。
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