2001 Fiscal Year Annual Research Report
有機性資源の循環及び循環型農業の現状と課題に関する研究
Project/Area Number |
11660217
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大原 興太郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 昌雄 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (20074081)
波多野 豪 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30249370)
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Keywords | 循環型社会 / 生物系資源 / 食品循環資源 / 循環システム / ネットワーク化 / 地域的連携 / 自然循環型農業 / バイオガス |
Research Abstract |
リサイクル社会は、(1)使用済みの物質をすべて回収するのは事実上不可能である、(2)リサイクルによって物質が劣化するのは避けられない、(3)物質のリサイクルを駆動するにはエネルギーが必要である、という三つの制約をもっているが、微生物やミネラル、そして生物自身のエネルギーによって循環が促進される生物系の資源循環は持続可能な社会を創っていく上で極めて重要である。特に、環境中から採取した資源は十分に利用しつくし、最終的な廃物は自然の循環機能を損なわない形で廃棄することが重要である。 生物系廃棄物の循環にとって大きな可能性をもっている堆肥化も物質を循環させる人のネットワークと新しい技術の開発が課題である。この点で、大規模複合経営を行っているY農事組合法人の牛糞堆肥・乾燥鶏糞を周辺の稲作農家の藁との交換により、有機栽培米を生産している事例では、試行錯誤の末、化学肥料に頼らずに慣行農法以上の品質・収量を上げる技術が創られつつあり、農薬も用いるとしても最低除草剤一回とする技術を確立した。Y法人の若者達が牛糞堆肥はマニュアルスプレッダーで、鶏糞堆肥はライムソワーを改良したもので機械散布する技術を確立したことにより、高齢農業者のグループが行う稲作を支える役割も果たしている。 このような堆肥化システムに有機農家を取り込むことは、良質の堆肥を産出するノウハウの蓄積を促す。実際に白山町の農家では、共同利用型のコンポスターによる堆肥化だけでなく、強制加熱や発酵菌の添加が不要で、取り扱いの容易な個別処理型の堆肥化方法も確立している。また、集合型コンポスターを利用するには、一定規模の利用者の確保、生ゴミ排出時のモラルを維持すること、それらによって投入量の大幅な変動と異物の混入を避け、微生物発酵の円滑な進行を保つこと、その際、利用グループの形成・リーダーの育成とその維持運営方法に関する問題の解決が課題となる。総じて、資源循環技術を社会システムに組み込むノウハウの確立の重要性を改めて指摘できる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 富岡昌雄: "家畜糞尿を原料としたエネルギー生産の普及条件-デンマーク及びスウェーデンにおける経験から-"農業と経済. 67-4. 91-97 (2001)
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[Publications] 富岡昌雄: "バイオガスプラントの経済的存立要因と資源循環に果たす役割-デンマーク及びスウェーデンの比較から-"2001年度日本農業経済学会論文集. 264-269 (2002)
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[Publications] 波多野豪: "循環社会におけるサブシステムの構築-食品系資源の循環的利用と有機農業の役割-"農業食料経済研究. 44-2. 42-51 (2002)
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[Publications] 日本村落研究学会(大原興太郎): "日本農業農村の史的展開と農政(東海地方における戦後農業農村の変貌-農業近代化政策の評価を中心に-)"農山漁村文化協会. 326 (2001)
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[Publications] Samalee Sthipradit & others: "Sustainable Agriculture:Posibility and Direction"Public Information Department,NSTDA,Thailand. 386 (2001)