1999 Fiscal Year Annual Research Report
稲わらのアルカリ処理による成分組成及び構造変化と消化性改善との関連に関する研究
Project/Area Number |
11660266
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
湊 一 茨城大学, 農学部, 教授 (60282282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮口 右二 茨城大学, 農学部, 助手 (60250990)
豊田 淳 茨城大学, 農学部, 助手 (00292483)
中村 豊 茨城大学, 農学部, 助教授 (60007789)
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Keywords | Rice straw / Dry matter digestibility / Lignin assays / Lignin content / Phenolics composition / IR spectra |
Research Abstract |
水酸化ナトリウム(NaOH)処理した稲わらの化学組成およびそのin situ消化率の変化、および処理した稲わらのリグニン含量とそのin situ消化率との関係について検討した。稲わらのNaOH処理は、乾物重量あたり最終含水量35%および最終NaOH濃度0〜4%となるように、稲わらにNaOH水溶液を散布し、0〜21日間貯蔵した。NaOH処理濃度を1から4%に上昇するに伴い、稲わらの中性デタージェント繊維(NDF)および粗ヘミセルロース(CH)含量は顕著に減少した。また、処理期間を0から21日まで長くするに伴い、NDF、CH、および酸性デタージェント繊維(ADF)含量が減少した。稲わらのin situ消化率は、NaOH処理濃度の上昇および処理期間の延長に伴い、増大した。4%NaOHで21日間の処理を行った時に、稲わらのin situ消化率の改善は最大であった。稲わらのリグニンおよびへミセルロース含量とin situ消化率との間には負の相関が認められた。 NaOH処理および無処理の稲わらの細胞壁に含まれるリグニン含量とフェノール性化合物の組成の変化と、それらの稲わらから抽出したリグニンのIRスペクトルを比較検討した。無処理およびNaOH処理稲わらのアルカリ性ニトロベンゼン酸化によって生成したフェノール性化合物を比較すると、NaOH処理により、バニリン、p-クマル酸、フェルラ酸、p-ヒドロキシベンズアルデヒド順にその含量が減少していた。また、NaOH処理によってエステル結合型のp-クマル酸の約50%が消失していた。IR分光分析では、桂皮酸エステルに由来する1730cm-1とグアイアシ核のメトキシル基に由来する1270cm-1での吸光度が、NaOH処理稲わらから調製したリグニンで顕著に減少していた。以上の成績から、稲わらの細胞壁のリグニンやヘミセルロースの他に、これらのリグニンやへミセルロースにエステル結合しているp-クマル酸、フェルラ酸がNaOH処理によって分解され、消失するものと結論された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hajime Minato: "Effect of Sodium Hydroxide Treatment of Rice Straw on Cell Wall Composition and Digestibility of Dry Matter"Animal Science Journal. 70. 61-66 (1999)
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[Publications] Hajime Minato: "Effect of Sodium Hydroxide Treatment of Rice Straw on the Composition of Lignin of Dry Matter"Animal Science Journal. 71. 150-156 (2000)