1999 Fiscal Year Annual Research Report
食肉製品のための高機能乳酸菌の分子生物学的育種と育種株の利用法の検討
Project/Area Number |
11660272
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有原 圭三 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (00175994)
|
Keywords | 乳酸菌 / 食肉製品 / lactobacilli / 育種 / プロテアーゼ / 変異 / プロバイオティクス |
Research Abstract |
本研究は発酵食肉製品に利用するスターター乳酸菌として望ましい性質をもつ菌株の育種を目的としたものである。まず、腸管由来のプロバイオティック乳酸菌として知られるLactobacillus gasseriの食肉製品への利用を目指し、十分な食塩耐性や亜硝酸耐性を備えた変異株の作出を試みた。また、乳酸菌の作用により食肉タンパク質から生理活性ペプチドを生成させるために、プロテアーゼ活性の高い菌株の検索と育種を実施した。 Lactobacillus gasseri JCM1131は食肉中での良好な生育を示すプロバイオティック乳酸菌であるが、ほとんどの食肉製品に利用されている添加物である食塩や亜硝酸塩に対して十分な耐性を持っていなかった。そこで、紫外線照射による変異株の作出を試みた結果、4%食塩と200ppm亜硝酸ナトリウムに対して十分な耐性を示す変異株を得ることに成功した。この変異株は、親株と比べて食塩や亜硝酸塩耐性をもつ以外に表現型質上に大きな差が認められず、食肉製品に用いるプロバイオティック乳酸菌スターターとして有望な菌株と考えられる。 Lactobacillus属を中心とする乳酸菌約200株を用いてプロテアーゼ活性が高く、かつペプチドの生成効率のよい菌株を検索したところ、Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus NCFB2483などいくつかの有望菌株を見出すことができた。現在、これらの菌株およびプロテアーゼを用いて、食肉タンパク質からの生理活性ペプチド生成条件を検討している。さらに、高プロテアーゼ活性変異株の作出も試みている。
|
-
[Publications] Arihara, K. et al.: "UV-induced Lactobacillus gasseri mutants resisting sodium chloride and sodium nitrite for meat fermentation"International Journal of Food Microbiology. 54(印刷中). (2000)
-
[Publications] 有原 圭三(細野 明義編): "畜産食品微生物学("食肉および食肉製品の微生物"の項分担執筆)"朝倉書店(東京). 179 (2000)