1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質の放出におけるRab3A系とSNARE系の役割とその作用機構
Project/Area Number |
11670118
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
白瀧 博通 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90249962)
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Keywords | 神経伝達物質 / 低分子量G蛋白質 / Rab3A / SNARE / Tomosyn |
Research Abstract |
この数年間の私共や他の研究者の研究から、Ras類似低分子量G蛋白質が生体内に約60種類以上存在し、巨大なスーパーファミリーを形成していることが明らかになっている。このうち、Rab3Aは、神経伝達物質の放出に関与している。私共は、このRab3Aの標的蛋白質であるRabphilin3を世界で最初に発見し、Rabphilin3がプレシナプスにおいてCa^<2+>センサーとして機能している可能性を示唆している。一方、普遍的膜融合装置であるSNARE系は、Rab3A系の下流でシナプス小胞のプレシナプス膜へのドッキングを制御している可能性が高くなっている。最近、私共は、SNARE系の活性制御蛋白質であるTomosynを世界で最初に発見し、TomosynがRab3A系とSNARE系をつなぐ重要な分子である可能性が高いと考えている。そこで、本年度は、Tomosynの機能を明らかにする目的で、Tomosynアイソフォームの同定を試みると共に、Tomosynの機能領域の解析を行った。Tomosynには、少なくとも三つのsplicingアイソフォームが存在していた。そこで、すでに報告しているTomosynをm-Tomosyn、他の二つのアイソフォームをそれぞれb-Tomosyn、s-Tomosynと命名した。s-Tomosynは、m-Tomosynと同様に脳に特異的に発現していた。一方、b-Tomosynは、ほとんど全ての組織に発現していた。s-Tomosynとb-Tomosynは、m-Tomosynと同様に脳に特異的に発現しているシンタキシン-1にのみ結合し、他のシンタキシンアイソフォームには結合しなかった。Tomosynは、三つのsplicingアイソフォームに共通して認められるC末端のVAMP類似領域を介してシンタキシン-1に結合した。このことから、N末端に存在する蛋白質-蛋白質結合に関与するWDrepeat領域には、シンタキシン-1以外の何らかの蛋白分子が結合する可能性がでてきた。このように、本研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ完全に達成することができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shirataki,H.,Sasaki,T.,and Takai,Y.: "Rabphilin-3 : a target molecule for Rab3 small G proteins"Methods in Enzymology. (in press). (2000)
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[Publications] Yokoyama,S.,Shirataki,H.,Sakisaka,T.,and Takai,Y.: "Three splicing variants of Tomosyn and identification of their syntaxin-binding region"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 256巻1号. 218-222 (1999)
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[Publications] Kobayashi,N.,Higashi,T.,Hara,K.,Shirataki,H.,and Matsuoka,H.: "Effects of imidapril on NOS expression and myocardial remodelling in failing heart of Dahl salt-senditive hypertensive rats"Cardiovasc.Res.. 44巻3号. 518-526 (1999)