1999 Fiscal Year Annual Research Report
大腸鋸歯状腺腫の発生・生長と、その癌化に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
11670170
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
味岡 洋一 新潟大学, 医学部, 助教授 (80222610)
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Keywords | 金居歯状腺腫 / 大腸腺腫 / K-ras / APC |
Research Abstract |
24例の大腸鋸歯状腺腫および4例の鋸歯状腺腫内癌のパラフィンブロックからDNAを抽出し、K-ras exon1、exon2およびAPCのMCR(exon15,codon1174〜1523)の突然変異の有無を、PCR-SSCP法で解析した。最大径平均は、腺腫:10.7mm(4-21)、腺腫内癌:15.8mm(10-20)である。検索結果は以下の通りであった。 1)K-ras変異:腺腫、腺腫内癌の腺腫部および癌ともにK-ras変異は認められなかった。 2)APC変異:腺腫の4.2%(1/24)のみに変異が見られた。腺腫内癌の腺腫部、癌部ともに変異は認められなかった。腺腫内癌の腺腫部も含めた腺腫のAPC変異率は3.6%(11/28)であった。 一般に大腸腺腫では、APCがその発生に、K-ras変異がその生長に関与するとされている。これまで本研究者は、鋸歯状腺腫ではK-ras exon1 codon12変異の頻度が低いことを報告してきたが、本年度までの結果もそれを追認するものであった。また、APCの頻度も極めて低いことから、大腸鋸歯状腺腫は、その発生と生長に、通常の大腸腺腫とは異なる遺伝子変異が関与している可能性が示唆される。 今後は検討症例数を増やすとともに、鋸歯状腺腫の癌化にp53遺伝子異常が関与しているかどうかについて、免疫組織学的検討と遺伝子変異検索(exon5〜8)を行う予定である。
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