2000 Fiscal Year Annual Research Report
リステリオシンOのサイトカイン誘導活性最小単位の決定と抗結核防御免疫への応用
Project/Area Number |
11670263
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河村 伊久雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (20214695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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Keywords | リステリオリシンO / IFN-γ / LPS / Mycobacterium bovis BCG / アジュバント / ワクチン / 結核 |
Research Abstract |
1.昨年度の研究で、リステリオリシンO(LLO)のサイトカイン産生誘導活性には、その膜傷害性の発現に重要なコレステロール結合ドメインであるundecapeptideが必須ではないことが示された。そこで、本年度はさらにC末端およびN末端側を欠失したtruncated LLOを作製し、そのIFN-γ産生誘導能を調べた。その結果、LLOの有する第1-4ドメインのうち、第4ドメインを欠失したLLOにもIFN-γ産生誘導能が認められたが、この第4ドメインを持たないLLOのN末端部分をさらに欠失させると、そのIFN-γ誘導能が低下することがわかった。しかし、このtruncated LLOのIFN-γ誘導活性が消失するわけではないことから、このN末端部分がサイトカイン誘導活性に必要なLLOの立体構造の維持に必要であると考えられた。また、LLOによるサイトカイン誘導活性はC3H/HeNマウスでは観察されたが、同系でlipopolysaccharide(LPS)に低応答性のC3H/HeJでは認められなかった。さらに、LPSの受容体として知られるCD14に対する抗体でLLOのサイトカイン誘導が阻害されたことから、LLOの刺激がLPSのシグナル伝達系を介して細胞内に伝わる可能性が考えられた。また、LLOはマウスマクロファージ系J774.1細胞表面の分子量50-60kDaの分子と結合することが示され、この分子がLLOの受容体として、あるいはアクセプター分子としてLLOサイトカイン誘導に関与すると考えられた。 2.BCGによる感染実験系でリポソームに封入したLLOがアジュバント活性を発揮したことから、結核に対するワクチンにLLOを応用できる可能性が示された。一方、LLOより細胞毒性の低いtruncated LLOは、リポソームへの封入効率が悪く、その投与方法を検討する必要があることが分かった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Baba,Hisashi: "Essential role of domain 4 of pneumolysin from Streptococcus pneumoniae in cytolytic activity as determined by truncated proteins"Biochemical and Biophysical Research Communications. 281. 37-44 (2001)
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[Publications] Chitale,Sadana: "Recombinant Mycobacterium tuberculosis protein associated with mammalian cell entry"Cellular Microbiology. 3. 247-254 (2001)
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[Publications] 河村伊久雄: "抗酸菌の細胞内感染の分子機構"化学療法の領域. 17(発表予定). (2001)
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[Publications] 光山正雄: "リステリアの膜傷害毒素と免疫系の相互作用"蛋白質、核酸、酵素. 46. 556-561 (2001)
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[Publications] 河村伊久雄: "リステリア膜傷害毒素listeriolysin O によるTh1細胞の誘導"臨床免疫. 34. 153-160 (2000)
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[Publications] 河村伊久雄: "IL-12と細胞内寄生体感染"Biotherapy. 14. 675-680 (2000)
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[Publications] 河村伊久雄: "結核"医薬ジャーナル社. 414 (2001)
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[Publications] 河村伊久雄: "マラリア学ボマニュアル"菜根出版. 290 (2000)