1999 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスクローン接種チンパンジーを用いた中和抗体エピトープの固定
Project/Area Number |
11670302
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
赤塚 俊隆 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30159321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 善治 国立感染症研究所, ウイルスII部, 室長 (50157252)
神吉 泰三郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10124918)
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Keywords | チンパンジー / C型肝炎 / C型肝炎ウイルス / 中和抗体 / B細胞 / EBウイルス / ELISA / ペプチド |
Research Abstract |
C.RiceとS.FeinstoneらがFDAのチンパンジーにC型肝炎ウイルス(HCV)の感染性RNAを接種して単一のウイルスによる感染実験に成功した。我々はそのチンパンジー、1535と1536のPBLをEBウイルス(EBV)でトランスフォームすることにより、HCV特異的IgG抗体産生B細胞クローンが感染後どの時点で出現するかを検討した。同時に血清のIgG抗体価も測定し比較した。その結果2頭のチンプともに、ALTの上昇がみられた20週には血中にC抗原に対するIgG抗体が出現したが、E1、E2抗体の出現は殆ど認められず、1536においてのみ45週以降になってE2抗体が出現、10週にわたる抗体価の上昇を認めた。しかしEBV-transformationの結果では、C、E1、E2いずれの抗原に対するIgG抗原に対するIgG抗体産生B細胞も35週の時点で同頻度に認められた。これは54週になっても同じであった。EBV-transformationでは完全に成熟した抗体産生より分化段階の低い細胞が検出されると考えられるので、我々の結果はウイルス中和に関与すると思われるE1、E2抗体を産生するB細胞の分化が、何らかの機序により最終段階の一つ手前で押えられていることを示している。共同研究者であるFDAのFeinstoneたちは、血中にE2抗体が出現するのとほぼ同じ時期にウイルスのE2のアミノ酸配列に一つの変異が起こっていることを見いだした。そこで我々はこの変異がヘルパーT細胞のエピトープとして認識され、それまで完全なIgG産生B細胞に分化できなかったのがこのヘルパーT細胞により可能となった、との仮設を立てた。現在この変異を中心としたペプチドを合成、これに対する増殖反応を変異の出現前と後のT細胞について行い比較する実験を進めている。E1、E2抗体産生抑制のメカニズムが明らかになれば、C型肝炎慢性化の機序の解明、その治療につながるものと期待される。
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