カドミウム摂取量減少によりカドミウム土壌汚染地域住民の健康はどう変化したか

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11670345
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 齋藤 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (80004901)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 有澤 孝吉 長崎大学, 医学部, 助教授 (30203384) ; 青島 恵子 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (20126501) ; 渡辺 孝男 宮城教育大学, 教授 (20004608) ; 高橋 達也 長崎大学, 医学部, 講師 (50304928)
• Keywords: 環境中カドミウム / カドミウム環境汚染 / カドミウム腎障害 / 尿β2-マイクログロブリン / 尿カドミウム

Research Abstract

カドミウム環境汚染に基づく健康被害の研究のなかでもっとも不足しているのは汚染地域住民のカドミウム摂取量の検討である。これまでに、昭和51年の秋田県小坂町、石川県小松市、長崎県巌原町の各20人の成績があるのみである。本研究では1980年〜1983年にかけてカドミウム汚染水田復元工事が完了した秋田県、長崎県の2つの旧汚染地域において地域住民の最近のカドミウム摂取量を正確に把握して、カドミウム摂取量の減少によって地域住民の健康がどう変化したかを解明する。
(1)2地域コホートの健康調査と新コホートの設定:1979年秋田県小坂町コホートの血液、尿を採取する。また、同時に秋田、長崎の2地域で出生年が昭和63年(1988年)から平成10年(1998年)までの新コホート(9歳までの住民60人)を設定し、頭髪収集、採尿、採血を行い、頭髪・尿・血液カドミウム、尿中β2-マイクログロブリンおよび尿クレアチニンを測定する。
(2)陰膳方式による24時間摂取食物の全量採取とカドミウム測定:2地域とも50歳代の女性各30人を無造作に抽出して採取する。
平成12年11月に秋田県小坂町の50〜69歳の住民41人から24時間摂取食物の全量、採血、採尿、頭髪採取を行い、目下、頭髪・尿・血液カドミウム、尿中β2-マイクログロブリンおよび尿クレアチニンを測定中である。これまでの分析成績からは1979年にカドミウムによる腎機能異常のなかった住民は1999年の時点においても腎機能異常のないことが明らかとなった。次年度は長崎県巌原町で調査を行う。