2000 Fiscal Year Annual Research Report
保有感覚による中途失明者の環境再認識・生活再建過程解明;バリアフリー化の基礎研究
Project/Area Number |
11670396
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
守山 正樹 福岡大学, 医学部, 教授 (10145229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我妻 則明 岩手大学, 教育学部, 助教授 (30132228)
齋場 三十四 佐賀医科大学, 一般教育, 教授 (30264170)
福島 哲仁 福岡大学, 医学部, 助教授 (90208942)
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Keywords | バリアフリー化 / 中途失明 / 環境認識 / 保有感覚 |
Research Abstract |
初年度の実験より、感じた内容の言語化能力に被験者間で個人差が大きいことが伺えた。言語化が、被験者の実験に対する関心の程度によって影響されることも示唆された。そこで被験者の役割を見直した上で、被験者の認識を最大限引き出せるような実験条件を検討した。 本年新たに試みたのは、参加者自身が実験をデザインする参加的実験の方法である。前年の研究から浮かび上がってきた"何となく全体が分かる"過程、及び手がかりが徐々につながって、"少しずつ分かる"過程の2過程に着目し、それを確認することに主眼を置いた。 手の触覚(手掌、手指を使用)に加え、足の触覚(足底、足指を使用)を実験条件に加えることにより、二つの過程が、手と足の双方に見られるか否か、の検討を試みた。触知の仕方や触知対象物の選定は、被験者グループに任せた。各被験者グループは2〜3名を一組とし、"アイマスク下で触知する人"、"触知物体を用意し、状況を設定する人"、"触知の場面をビデオに記録する人"などの役割を、グループの責任として設定した。7月には福岡で、また9月には盛岡で、それぞれ3被験者グループを設定し、できるだけ学生の自由にまかせた参加的な方法で触知実験を行った結果、前年度よりも積極的に学生が実験に取り組み、アイマスク下の知見に関しても、より活発な発言が得られた。 バリアフリーを人の立場から解明する方法論として、「参加的実験」が有効なことが示されたのが、本年の収穫である。参加的実験といっても、「参加者がやりたい放題に進める」という意味ではなく、参加者の事前教育や方向付けに関しては、綿密な設定が必要とされる。年度の最後に、まとめを兼ねた参加的実験序説とも言える研究プロトコールが試作された。最終年度には、このプロトコールを確認した上で、より再現性のある結果に基づき、環境再認識と生活再建過程を描き出すことが期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Moriyama M. et al.: "Participatory Assessment of the Environment from Children's viewpoints"Tohoku Journal of Experimental Medicine . 193(印刷中). (2000)
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[Publications] 守山正樹: "住民の立場から作り上げる目標値とは?"週刊保健衛生ニュース. 1083. 10-14 (2000)
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[Publications] 守山正樹: "子どもの健康づくりと健康日本21"小児科臨床. 53Supple.. 1053-1058 (2000)