1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳疾患の法医病理診断-複合糖鎖・生理活性物質の利用-
Project/Area Number |
11670413
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西 克治 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60073681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 郁子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70283562)
山本 好男 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (60111902)
西村 明儒 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (60283561)
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Keywords | 複合糖鎖 / 法医病理 / 脳疾患 / レクチン / ドーパミン / ペプチダーゼ / 糖鎖構造物質 |
Research Abstract |
(1)正常状態での機能解明として、前帯状回皮質(ACC)内のドーパミン(DA)動態が精神分裂病の病因と関連しているといわれている事から、ACC神経細胞のチロシン水酸化酵素(TH;DA合成系の第一酵素)と芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC;DA合成系の第二酵素)の発現を検索し、ACC神経細胞にはTHとは共存しないことが明らかとなり、AADC含有神経細胞はLドーパをDAに、droxidopaをノルアドレナリンに、5水酸化トリプトファンをセロトニンに転換している可能を見いだした。(2)病態の検出として、ダウン症やアルツハイマー型痴呆患者脳内では、2種類の違った形態の糖鎖構造物質の沈着が大脳及び小脳の白質部分に認められる事を初めて明らかにした。一つは、白質内の血管壁外周部分に沈着し、これらはフコース、ガラクトース、Nアセチルガラクトサミンに特異的レクチンで、他方は、血管に無関係に沈着し、フコース、ガラクトース、マンノース、NアセチルガラクトサミンやABO式血液型前駆物質と特異的レクチンで検出可能であることを明らかにした。また、老人斑検出に掛かる三重染色方法も開発した。(3)生理活性物質に対する抗体作成検討では、先ず、ラット肝臓からDipeptidyl peptidaseの精製を行った。精製酵素の生化学的特性を決定した後、酵素のアミノ酸配列を決定、cDNAの決定も行った。また、精製酵素を兎に免疫し抗体を得、ラット臓器中での本酵素の分布を検討した。以前に報告した肝臓から精製されるalanyl aminopeptidaseのようにcDNAがラット:ヒト間で類似していれば、ヒト組織での検索も可能となり、alanyl aminopeptidaseのヒト脳神経細胞での発現との関連性を検討できる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 澤田園、西村明儒、牛山郁子、中川季子、山本好男、西克治: "鍍銀法と二種の免疫染色による三重染色の法医神経病理診断学への応用"法医病理. 6巻(印刷中). (2000)
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[Publications] Ikemoto K.,Kitahama K.,Nishimura A.,Jovet A.,Nishi K.,Arai R.,Jovet M.,Nagata I.: "Tyrosine hydroxylase and aromatic L-amino acid decarboxylase do not coexist in neurons in the human anterior cingulate cortex"Neurosci Lett.. 269. 37-40 (1999)
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[Publications] Ohkubo I.,Li Y-H.,Maeda T.,Yamamoto Y.,Yamane T.,Nishi K.: "Dipeptidyl peptidase III from rat liver cytosol: Purification, molecular cloning and immunohistochemical localization"Biol. Chem.. 380. 1421-1430 (1999)