1999 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質発生における塩基性線維芽細胞増殖因子及びGap junctionの役割
Project/Area Number |
11670784
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 孝雄 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80171495)
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Keywords | 大脳皮質発生 / FGF2 / 細胞分裂 / 細胞周期 / マウス / Q Fraction / 組織培養 |
Research Abstract |
胎生13日のマウス胎仔の大脳組織を培養し、神経幹細胞の分裂・分化に及ぼすFGF2の影響を評価した。平成9、10年度に得た基礎データをもとに、本年度の実験計画を作成した。具体的には2種類のS期標識マーカー(^3H標識チミジンとBUdR)を1.5時間の間隔で腹腔内投与、その後FGF2添加群と非添加群(対照)に分けて培養した。^3Hのみで標識された細胞の分布と数から、脳室層細胞の分裂動態およびQ fraction(神経幹細胞が分化を開始する確率)を推定した。FGF2添加群と対照それぞれについて、神経発生が比較的進行している大脳外側と遅れている大脳内側で解析を行った。 大脳外側:FGF2添加群では対照に比して脳室層内で増殖を続ける細胞が増加、一方、細胞周期を離脱する細胞は減少した。Q fractionは対照で0.95であったのに対し、FGF2添加群では0.81に低下した。大脳内側:FGF2添加群と対照で、^3Hのみで標識された細胞の分布に明らかな差を認めなかった。Q fractionもそれぞれ0.79、0.78と差を認めなかった。 FGF2は神経幹細胞のQ fractionを減少させること、すなわち分化を抑制して増殖を促すことが示された。また、その作用は発生段階が進んでいる神経幹細胞において選択的に発揮されることが示唆された。FGF2は神経幹細胞に作用し、大脳皮質の神経細胞数を増加させることになる。 来年度はgap junction阻害作用を有するoctanolについて検討を行う予定である。Gap junctionは増殖中の神経幹細胞を接続し、細胞周期のコントロールに重要な役割を果たしていると考えられており、その遮断はQ fractionを増加させると予想される。本年度の実績とあわせ、神経幹細胞の分裂・分化の調節機構を解明することを目的とする。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Delalle I, Takahashi T, Nowakowski RS , Tsai LH , Caviness VS Jr.: "Cyclin E-p27 opposition and regulation of the G1 phase of the cell cycle in the murine neocortical PVE : a quantitative analysis of mRNA in situ hybridization"Cereb Cortex. 9・8. 824-832 (1999)
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[Publications] Takahashi, T,Goto T, Miyama S, Nowakowski RS, Caviness VS Jr.: "Sequence of neuron origin and neocortical laminar fate: relation to cell cycle of origin in the developing murine cerebral wall"J.Neurosci. 19・23. 10357-10371 (1999)
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[Publications] Takahashi T, Bhide PG, Goto T, Miyama S, Caviness VS Jr.: "Proliferative behavior of the murine cerebral wall in tissue culture:cell cycle kinetics and checkpoints"Exp Neurol. 156・2. 407-417 (1999)
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[Publications] Caviness VS Jr. Takahashi, Nowakowski RS.: "The G1 restriction point as critical regulator of neocortical neuronogenesis"Neurochem Res.. 24・4. 497-506 (1999)
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[Publications] Verney C, Takahashi T, Bhide PG, Nowakowski RS, Caviness Jr VS.: "Independennt controls for neocortical neuron production and histogenetic cell death"Dev. Neurosci. 22(1-2). 125-138 (2000)