2000 Fiscal Year Annual Research Report
中脳から前頭皮質に投射する上行性コリン作動性神経線維の選択的同定
Project/Area Number |
11670957
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
田子 久夫 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40171681)
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Keywords | コリン作動性神経系 / ブチルコリンエステラーゼ / ウィスター系ラット / 前頭葉皮質 / 視床 / 中脳脚橋核 / 背外側被蓋核 |
Research Abstract |
本年度の研究では、大脳皮質前頭葉に投射する中脳のブチリルコリンエステラーゼ(BChE)陽性コリン作動性神経を同定するために、逆行性tracerとしてfluoro-gold(FG)を用いた。FGで逆行標識された中脳神経細胞のうち、脚橋核、背外側被蓋核のBChE陽性神経についてBChE組織化学との二重標識法で検討した。また同じく大脳皮質前頭葉に投射している視床前核群のBChE陽性神経からの投射によるものとの識別を行うために脚橋核、背外側被蓋核の神経細胞をibotenic acid(IA)で傷害する実験を行った。前頭葉外側部のFG溶液注入では、脚橋核、背外側被蓋核の大型神経細胞の一部に、逆行輸送されたFGで標識された大型神経細胞1が観察された。その数は非常に少数で、全切片を観察しても8〜15個(5匹のratで平均11個)であった。そのほとんどは同側の脚橋核に限局しており、同側のLDTgには0〜1個観察されるのみであった。対側部脚橋核では0〜2個であった。脚橋核内でも分布は最吻側に多く、尾側には認められなかった。この切片をglass slideから外してBChE染色するとほぼ60%がBChE-positiveであった。IAによる傷害では、脚橋核ならびにその周辺に限局して傷害されていた3匹のratの検討を行った。その結果、前頭葉BChE陽性線維は、傷害側の前頭葉外側腹側部において、対側ならびに対照動物の同部位と比較してほぼ消失していた。他方、前頭葉内側部のBChE陽性線維は変化がなかった。これらをまとめると、中脳脚橋核のコリン作動性神経から前頭葉外側部に神経線維が投射されていることが確認できた。今後は、前頭葉内側部のBChE陽性線維を投射する部位を同定する必要がある。
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