2000 Fiscal Year Annual Research Report
近位尿細管におけるナトリウム依存性リン輸送担体の活性調節機構-リン輸送担体小胞の同定と細胞内トランスロケーション調節機構-
Project/Area Number |
11671038
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武田 英二 徳島大学, 医学部, 教授 (00144973)
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Keywords | リン輸送担体 / トランスロケーション / 低分子リン輸送担体蛋白 |
Research Abstract |
生体のリン代謝恒常性は、腎尿細管のII型ナトリウム依存性リン輸送担体によるリン輸送活性により調節されている。食餌性リンや副甲状腺ホルモン(PTH)などによる急速なリン調節機構としてII型リン輸送担体の細胞内トランスロケーションがある。これまでにラットII型リン輸送担体(NaPi-2)によるリン輸送活性調節に関与する低分子NaPi-2γ分子を同定した。 そこで、NaPi-2γのNaPi-2リン輸送能およびNaPi-2トランスロケーションに対する効果を検討した。アフリカツメガエル卵母細胞を用いてNa/Pi輸送活性を調べた結果、NaPi-2γ自体はリン輸送能を示さなかったが、NaPi-2とNaPi-2γを共発現させリン輸送能を測定すると、NaPi-2による本来のリン輸送活性を約80%抑制した。さらに、卵母細胞膜におけるNaPi-2の発現量をウエスタンブロット及び免疫組織染色により検討したところ、NaPi-2γはNaPi-2のエンドサイトーシスを誘導し、卵母細胞膜上に発現しているNaPi-2タンパクを減少させた。卵母細胞膜に発現させたNaPi-2γを細胞膜上で検出できることから、NaPi-2γは細胞膜上でNaPi-2に作用して機能に影響を与える。以上、本研究でNaPi-2γによるリン輸送活性を調節する新しい分子機構を明らかにした。 これまでに、NaPi-2エンドサイトーシス機構におけるNaPi-2C末の重要性が報告されていることから、NaPi-2C末を有しているNaPi-2γがNaPi-2のエンドサイトーシスに関与している可能性が十分に考えられる。しかし、NaPi-2γによるNaPi-2エンドサイトーシスがNaPi-2γ自身のリン酸化によるものか、また別の機構が働いているのかについては今後の研究課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takeda E.: "Molecular mechanisms of mammalian inorganic phosphate homeostasis"Advan.Enzyme Regul,. 40. 285-302 (2000)
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[Publications] Uemura H.: "Close correlation between estrogen treatment and renal phosphate reabsorption capacity."J.Clin.Endocrinol.Metab,. 85. 1215-1219 (2000)
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[Publications] 武田英二: "ビタミンDとリン輸送."BONE. 14. 209-212 (2000)