2000 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルノックアウトマウスを用いた動脈硬化におけるサイトカインの役割に関する研究
Project/Area Number |
11671111
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
和田 久泰 岐阜大学, 医学部, 助手 (10283300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清島 満 岐阜大学, 医学部, 教授 (10171315)
斉藤 邦明 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (80262765)
山田 泰弘 岐阜大学, 医学部, 助手 (10324295)
関川 賢二 農林水産省, 家畜衛生試験場, 部長
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Keywords | 動脈硬化 / TNF-α / アポリポ蛋白E / ノックアウトマウス / マクロファージ / ICAM-1 / VCAM-1 / MCP-1 |
Research Abstract |
動脈硬化病巣にはコレステロールの蓄積を中心として,マクロファージ,平滑筋細胞,Tリンパ球などが存在しており,これらの細胞群は種々のサイトカインを分泌している.従って,これらのサイトカイン,とりわけproinflammatory cytokineであるTNF-α(tumor necrosis factor-α)は動脈硬化の発症,進展に深く関与していると想定される.しかし,現在までのところ動脈硬化に対するTNF-αの関与を直接的に証明した成績は認められない.本研究では,TNF-αノックアウトマウス(TNF-α KO)とアポリポ蛋白E(ApoE)ノックアウトマウス(ApoE KO)を交配させることによって樹立したダブルノックアウトマウス(TNF-α/ApoE KO)を用い,動脈硬化発症におけるTNF-αの役割を直接的に証明した. ApoE KOとTNF-α/ApoE KOの血清コレステロール値はwild-type(C57BL/6J)に比べて著明に上昇し,超低比重リポ蛋白(VLDL)コレステロールがその主体を占めていた.しかし,ApoE KOとTNF-α/ApoE KOとの間に有意な差を認めなかった.一方,大動脈基部における動脈硬化病変の大きさを比較すると,TNF-α/ApoE KOはApoE KOに比して動脈硬化病変が有意に減少していた.さらに,大動脈におけるRT-PCR分析および免疫染色により,接着因子(ICAM-1,VCAM-1)やケモカイン(MCP-1)の発現が,ApoE KOに比べTNF-α/ApoE KOにおいて有意に少ないことを認めた. 以上の成績より,TNF-αは接着因子やケモカインの発現を誘導してマクロファージの接着・遊走を促進し,動脈硬化病変の形成に促進的に働いていることが示された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Fujii et al.: "Disruption of tumor necrosis factor-α prevents the development of atherosclerosis in apoE-deficient mice"Atherosclerosis. 151(1). 33 (2000)
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[Publications] H.Fujii et al.: "Tumor necrosis factor-α(TNF-α) promotes the development of atherosclerosis in apolipoprotein(APO) E-deficient mice"Circulation. 102(18). II-49 (2000)
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[Publications] 藤井秀比古,清島満: "サイトカインと疾患"医歯薬出版株式会社. 4 (2000)