1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺癌細胞株におけるメタロ・プロテナーゼ阻害剤BPHAの抗浸潤,転移効果の研究
Project/Area Number |
11671328
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 和也 徳島大学, 医学部, 講師 (10263815)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
先山 正二 徳島大学, 医学部, 助手 (60291986)
駒木 幹正 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (60215382)
|
Keywords | BPHA / MMP-2 / 浸潤阻害 / in vitro invasion assay / MMI-166 |
Research Abstract |
BPHA(N-Biphenyl sulfonyl Phenylalanine Hydroxamic Acid、塩野義製薬)はMMP-2とMMP-9の活性を特異的に阻害する物質である。私たちはMMP-2の発現量が異なる肺癌細胞株(MMP-9は発現していない)を用い、MMP-2の発現量とBPHAの浸潤阻害効果が相関するかどうか検討した。 【使用した癌細胞】ヒト非小細胞肺がん細胞株Ma10,Ma25,(コントロールとして線維肉腫細胞株HT1080)で,HT1080,Ma-10は、MMP-2の強発現が認められ、Ma-25はMMP-2の発現量は低い。 【BPHAによるin vitro浸潤能の阻害】 in vitro invasion assayにおいて、HT1080は、浸潤はBPHAではコントロールの63%まで抑制され、Ma10では、41%まで抑制された。しかし,遊走能は両細胞株ともコントロールと差を認めなかった。 【MMI-166によるin vitro浸潤能の阻害】 我々はさらに,特異性の高いMMP阻害剤MMI-166を,同社より入手し,同様の検討を行った.HT1080では,浸潤はMMI-166で74.5%抑制され,Ma10は,17.4%抑制された.しかし,Ma25細胞は,MMI-166では浸潤は阻害されなかった.また,遊走能は全ての細胞株でMMI-166で阻害されなかった. 以上の結果から,BPHA,MMI-166はin vitroで走化性に影響しないが,基底膜の浸潤を抑制し、その阻害効果はMMP-2の発現と相関することが示唆された. 【in vivoでの抗浸潤効果】 SCIDマウスの皮下に肺癌細胞株をマトリゲル(10mg/ml)とともに2x10^5細胞ずつ移植し、MMI-166(0,100,200mg/kg/day、移植後翌日より連日投与)を経口投与し、皮下腫瘍の大きさを測定し、抗腫瘍効果を検討した。MMI-166 0mg/mlのとき腫瘍径4800±282mm^3、MMI-166 100mg/ml;3784±1049mm^3、MMI-166 200mg/ml;2301±565mm^3 以上よりMMI-166投与によりdose dependentに腫瘍抑制効果を認めた。
|