絨毛トロホブラストのアポトーシス調節機構の分子生物学的ならびに遺伝子工学的解析

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11671619
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 松尾 博哉 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60229432)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 丸尾 猛 神戸大学, 医学部, 教授 (60135811)
• Keywords: 絨毛細胞 / 胎盤 / アポトーシス / bcl-2 / PPAR / 脱落膜 / 妊娠中毒症 / 甲状腺ホルモン

Research Abstract

絨毛細胞には、絨毛上皮を形成する絨毛性栄養膜細胞である細胞性栄養膜細胞(cytotrophoblast:C細胞)と合胞体栄養膜細胞(syncytiotrophoblast:S細胞)、母体脱落膜へ侵入する絨毛外栄養膜細胞(extravillous trophoblast:EVT)の3種類がある。
平成12年度には、絨毛性栄養膜細胞におけるアポトーシス発現がC細胞、S細胞ともに妊娠極めて初期に高く、妊娠早期以降大きく減少すること、アポトーシス抑制因子のBcl-2蛋白がS細胞に局在し、その発現レベルが妊娠末期に向けて増強することを明らかにし、Bcl-2蛋白がS細胞のアポトーシスを抑制することにより妊娠維持機構の中で重要な役割を果たしている可能性を示した。
一方、EVTのアポトーシス発現は妊娠初期で有意に高く、妊娠中期以降低下し、妊娠末期のEVTでは、脱落膜浅部に比して深部でアポトーシス発現は有意に高かった。アポトーシス誘導因子であるFas/Fas-Lはいずれも妊娠各期EVTで観察され、妊娠末期では脱落膜浅部のEVTに比して深部EVTでその発現は増強することを認めた。他方、EVTにおけるBcl-2蛋白の発現は妊娠末期では初期に比しその発現は増強し、妊娠末期では脱落膜浅部のEVTに比して深部EVTで減弱した。このことより、妊娠経過ならびに脱落膜侵入に伴うEVTのアポトーシス発現調節にFas/Fas-LならびにBcl-2 familyが重要な役割を担っている可能性を示した。
妊娠中毒症合併胎盤では、脱落膜深部EVTにおいてBcl-2蛋白発現が減弱し、アポトーシス発現高まることからEVTの脱落膜への侵入が損なわれることを示した。

Research Products

• [Publications] 松尾博哉: "GnRHアゴンスト療法膜の骨量ならびに骨代謝動態の検討"Osteoporosis Japan. 7. 82-85 (2000)
• [Publications] Ishihara N: "Changes in proliferative potential apoptosis and Bcl-2 protein expression in cytotrophoblast and syncytiotrophblast in human placenta over the course of pregnancy"Endocrine Journal. 47. 317-327 (2000)
• [Publications] 松尾博哉: "GnRHアボマストによる子宮内膜症治療後12ケ月内にわたる骨代謝動態の解析"日産婦誌. 52. 659-668 (2000)
• [Publications] Takekida S: "Comparative analysis of the effects of gonadotropin-releasing hormone agonist on the proliferative activity, apoptosis and steroidogenesis in cultured porcine granulosa cells at varying stages of follicular growth."Endocrive. 12. 61-67 (2000)
• [Publications] 溝渕真樹: "閉経合の骨量減少に対するエストクオールと骨粗鬆症治療薬併用療法の有用性に関する検討"日本母性衛生学会誌. 42(印刷中). (2001)
• [Publications] Kurach O: "Tuner recross factor-α expression in human intervene Reiomyona and its doion -regulation by progesterone"J Clin Endocrinal Metab. (in press). (2001)
• [Publications] 丸尾猛: "新女性医学大系"武谷雄二. 15 (2000)
• [Publications] 丸尾猛: "新女性医学大系"武谷雄二. 10 (2000)