1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671747
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上原 文行 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30168653)
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Keywords | 細胞 / 視細胞変性 / レクチン / ラット / ガレクチン3 / シアリダーゼ / ムチン / cDNA |
Research Abstract |
ラットに連続光照射して視細胞変性を誘発する実験系を用いて、網膜色素変性症の治療開発のための基礎的研究を行った。(A)ムチン型糖鎖に結合する植物性レクチン(Jacalin)をラットの硝子体内および網膜下腔内に投与したところ、連続光照射起因性の視細胞変性が高度に抑制された。生体レクチンであるガクレチン3をフュージョン蛋白として合成し、ラットの硝子体内に投与したところ、視細胞変性が中等度に抑制された。一方、ガレクチン3に対するポリクローナル抗体を作成し、ラットの硝子体内に投与したところ、視細胞変性が逆に促進された。以上の結果より、ガラクトースを認識するレクチンは、連続光照射起因性の視細胞変性を抑制する効果があるとみなされた。(B)シアリダーゼの阻害剤(2,3-dehydro-2-decoxy-N-acetylneuraminic acid)をラットの硝子体に投与したところ、短期的には視細胞変性の阻止効果がみられた。しかしながら、一回投与では長時間の抑制効果はみられなかったことから、シアリダーゼ阻害剤の反復投与による視細胞変性阻止効果効果についても検討する必要がある。(C)ウシの光受容体間基質のムチン型複合糖質のコア蛋白に対するポリクローナル抗体を作成し、ヒトおよびラットの網膜のcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、ヒトおよびラットのコア蛋白のcDNAがクローニングされた。これらの全塩基配列を決定したところ、共通してヒアルロナン結合モチーフが同定されるとともに、セリンとスレオニンに富むムチン様蛋白をコードしていることが明らかになった。一方、免疫組織化学的に、このムチン型複合糖質は、光受容体間基質だけでなく、視細胞のシナプス部にも分布することが同定された。
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