フィブロネクチン分子の細菌体結合エピトープの構造解析

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11671873
• Research Institution: Kagoshima University
• Principal Investigator: 伊藤 博夫 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (40213079)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 五月女 さき子 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (20325799) ; 北田 勝浩 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90195264)
• Keywords: フィブロネクチン / 細胞外基質タンパク質 / 感染性心内膜炎 / モノクローナル抗体 / エピトープ・マッピング / ビリダンスレンサ球菌 / 口腔細菌

Research Abstract

フィブロネクチン(Fn)は動物細胞間の接着に重要な役割を演じている細胞外基質タンパク質であるが、また同時に病原性微生物が生体組織に定着する際の標的でもあることが示唆されている。前年度の本研究において、ヒトFnをマウスに免疫して、心内膜炎誘発性のビリダンスレンサ球菌の一つであるGranulicatella(Abiotrophia)adiacensの固相化したFnに対する付着を抑制するmAbを樹立した。本年度は、本mAbが認識するFn分子上のエピトープ領域を明らかにすべく、thermolysin、chymotrypsinなどのタンパク分解酵素で限定分解したFn断片に対するmAbの反応性を検討した。菌体のFn付着を抑制するmAbは、これまでにStaphylococcus aureusやStreptococcus pyogenesなどの他菌種由来のFn結合性タンパクが認識する領域であることが明らかにされているN末端側領域には反応を示さず、Fn分子の中央部領域に反応を示したことから、本mAbが認識する領域と反応するG.adiacensのFn結合性物質は過去に報告のないものであることが示唆された。また、G.adiacens以外の菌種のFn付着に対する抑制作用を検討したところ、本mAbはEscherichia coli、S.pyogenesの一部の菌株、およびGranulicatellaに近縁のAbiotrophia defectivaのFn付着を抑制したが、S.pyogenesの一部の菌株とS.aureusのFn付着を抑制しなかった。すなわち今回存在が示唆された新奇なG.adiacensのFn結合性物質が菌種を超えて分布している可能性が示唆された。

Research Products

• [Publications] 五月女さき子: "Abiotrophia adiacensのフィブロネクチン付着を阻害するモノクローナル抗体の作製"口腔衛生会誌. 50・4. 590-591 (2000)
• [Publications] Soutome,S.: "Identification of a New Bacterial Binding Region of Fibronectin Molecule"J.Dent.Res. (in press).