1999 Fiscal Year Annual Research Report
象牙細管内の環境をシミュレーションした露出歯根象牙質齲蝕の誘発モデルの確立
Project/Area Number |
11671896
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾崎 和美 徳島大学, 歯学部, 助手 (90214121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 有希子 徳島大学, 歯学部, 助手 (60294708)
松尾 敬志 徳島大学, 歯学部, 教授 (30173800)
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Keywords | 齲蝕関連細菌 / 歯髄内圧 / 菌体関連多糖 |
Research Abstract |
本研究では、象牙質片の歯髄側に開口した象牙細管から生理食塩水を加圧しながら供給することで、歯髄内圧を可及的に再現した露出歯根象牙質のモデルを作製した。さらに本モデルの象牙質片の歯表面側でStreptococcus mutansをはじめ種々の齲蝕原性菌を最長14日間培養した後、象牙質片を表層のプラークと共に処理し、光顕および電顕用切片を作製した。得られた切片に菌体内多糖を検出する染色を施し観察することで、細管内圧が細菌の象牙細管内への侵入にどう影響を及ぼすのかを解析した結果、以下の所見を得た。1.歯髄側より生理食塩水を加圧した実験群では培養期間あるいは培養した細菌種に関わらず、象牙細管内への著明な細菌侵入を認めることはなかった。2.S.mutansを培養した象牙質片においては歯表面側に厚さ約100μmのプラークの付着が認められ、またこの試料から作成した超薄切片に過ヨウ素酸ーチオセミカルバジドー蛋白銀染色を行い透過型電子顕微鏡下で観察したところ、プラーク細菌の菌体内には電子密度の高い顆粒様構造物が多数確認された。しかしながら、この顆粒様構造物を保有する細菌のプラーク内での局在あるいは顆粒の数や大きさに関し、培養期間の差による特異な傾向は認められなかった。3.Lactobacillus caseiおよびActinomyces viscosusを培養した象牙質片においては歯表面側でのプラークの著明な堆積は認められず、またわずかに付着した細菌の菌体内に顆粒様構造物はほとんど観察されなかった。今後、歯表面側での複数の細菌種による共培養あるいは培養期間の延長が、細管内への細菌侵入の様相にどう影響を及ぼすのかを解析する予定である。
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Research Products
(1 results)