2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671949
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
小田 豊 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085838)
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Keywords | チタン / 腐食 / 電気化学 / 快削性 / チタン合金 |
Research Abstract |
チタンは歯科用材料として有望視されているものの、切削加工が困難な材料である。近年CAD/CAMの研究が進展し、切削加工が容易で耐食性に優れたチタン合金の開発が求められている。チタンに硫化物やレアアースメタルを分散させることによって快削性を持たせた快削性チタン合金が開発され、歯科用切削器具でも加工性に優れていることが報告されている。快削チタン合金に含まれる硫化物やレアアースメタルは必ずしも安定な状態で含有されておらず、歯科用合金として応用した場合、耐食性や生体適合性が懸念される。そこで、純チタン(JIS2種)およびTi-3Al-2V合金と快削チタン合金2種(DT2F、DAT52F:大同特殊鋼)を用い、0.9%NaCl溶液、1%乳酸溶液中における電気化学腐食挙動を測定するとともに、Ti,Ti-Cu,DT2F合金のL929細胞にたいする毒性試験を行った。その結果以下の結論が得られた。 (1)快削チタン合金の自然電位,腐食電位はチタンおよびチタン合金より卑な値を示した。(2)1%乳酸溶液中では,快削チタン合金はチタンとほぼ同電位の0V付近で不動態化し,不動態保持電流密度は顕著な差異を示さなかった.しかし,0.9%NaCl溶液中では不動態化電流密度は極めて大きな値を示した。(3)過不動態化電位はチタンおよび快削チタン合金の何れの合金も顕著な差異が認められなかった。(4)快削チタン合金の組織では5μm以下のS,Ce,Laから成る粒状物が認められ,0.9%NaCl溶液中ではこれらが溶出するために大きな不動態化電流密度を示したものと考えられた.(5)快削チタン合金の耐食性は従来のチタンおよびチタン合金に比較して顕著に劣るものではないが,S,Ce,Laの溶出が推定されるため,歯科用合金としては更に検討を要するものと考えられる.(6)細胞毒性試験では快削合金のDT2FはTi,Ti-Cuと有意差は認められなかった。
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