Research Abstract |
1980年代における北米の歯牙フッ素症増加は,カフェインを含有する飲料のせいではないか(Chan JT et al : Med Hypotheses 33,21-22,1990)と言われる一方,カフェインは血中フッ素濃度,腎での再吸収,尿中への排泄に影響しないとも言われる(Chen X et al : Archs Oral Biol 44,33-39,1999).本実験(10日間の摂取)において飲水量,体重変化,血中フッ素濃度は飲水中のフッ素濃度,カフェイン濃度に影響されないように見え,骨髄幹細胞の非特異エステラーゼ,クロロアセテート・エステラーゼ発現も影響されなかった. フッ素イオンはヒト白血球細胞膜におけるホスホリパーゼD/ホスファチジン酸依存性,非依存性にdiradylglycerol,スーパーオキサイド産生を促し,エタノールはそのフッ素イオンの働きを抑制する(Olson SC et al : FEBS Lett 272,19-24,1990).その他にもこうしたフッ素イオンとエタノールの相互関係の報告は血液細胞に限っても数多い.したがって,それらから,骨髄幹細胞においても何らかのフッ素イオンとエタノールの相互関係を類推させるが,上述の実験条件における飲水量,体重変化,血中フッ素濃度は飲水中のフッ素濃度,エタノール濃度に影響されないように見え,骨髄幹細胞の非特異エステラーゼ,クロロアセテート・エステラーゼ発現も影響されなかった. T-細胞に及ぼすニコチンの影響は免疫抑制を懸念させる(Geng Y et al : Immunol 156,2384-2390,1996)が,骨髄幹細胞における非特異エステラーゼ,クロロアセテート・エステラーゼ発現は飲水中のフッ素濃度,ニコチン濃度に影響されないように見える.また,マウスの飲水量,体重変化,血中フッ素濃度も飲水中のフッ素濃度,ニコチン濃度に影響されなかった.
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