2000 Fiscal Year Annual Research Report
ペルフルオロイミダート類を用いた新反応の開発と応用
Project/Area Number |
11672108
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
中島 範行 富山県立大学, 工学部, 助教授 (40188959)
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Keywords | トリフルオロアセトイミダート / トリクロロアセトイミダート / 3,3-シグマトロピー転位 / ルイス酸触媒によるエポキシドの開環反応 / グリコシル化 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度報告したペルフルオロイミダート類の簡便合成法により得られたトリフルオロアセトイミダートの1)3,3-シグマトロピー転位、2)ルイス酸触媒によるエポキシドの開環反応、3)グリコシル化における反応性や選択性を既存のトリクロロアセトイミダート類のそれと比較・検討した。既存のトリクロロアセトイミダートに比べ、安定性が増加し反応性が低下する傾向はあったが、反応は問題なく進行した。 1)3,3-シグマトロピー転位 4種のアリルペルフルオロイミダートについて加熱条件、Pd触媒存在下における3,3-シグマトロピー転位を検討した。トリクロロアセトイミダートと比べ安定性にすぐれる分、反応の完結までに長時間を要したが、トリクロロ体が長時間での加熱条件において熱分解を起こし易い場合、基質をトリフルオロアセトイミダートに代えることで好結果を与えた。 2)ルイス酸触媒によるエポキシドの開環反応 3種のエポキシトリフルオロアセトイミダートに対するルイス酸触媒におけるエポキシドの開環反応を検討した。トリクロロアセトイミダートでの反応と比べ、副生物の生成が押さえられ、目的物の収率が向上した。また、開環反応後に生じたトリフルオロアセトアミド基の除去がトリクロロアセトアミド基にべて容易であったことから、本反応を天然物の合成に応用した。詳細については来年度に報告する。 3)グリコシル化 エーテル保護糖である2,3,4,6-tetera-O-benzylglucoseと、アシル保護糖である2,3,4,6-tetera-O-acetylglucoseの2種の糖供与体を用い、4種の糖受容体に対するグリコシル化反応を行った。トリクロロアセトイミダートと比べ、多少多くの触媒あるいは反応時間を必要とするものの生成物の選択性(特にアノマー位)には大きな差はみられなかった。シアル酸誘導体など安定性に劣る糖供与体では、トリクロロアセトイミダートの合成が報告されておらず、今後、対応するトリフルオロアセトイミダートの合成を検討する予定である。
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