2000 Fiscal Year Annual Research Report
Through Space n_0→π^*及びn_0→σ^*相互作用に関する研究
Project/Area Number |
11672126
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西出 喜代治 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (10237711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野出 學 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60027076)
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Keywords | フッ素基 / シアノ基 / 脂肪族直鎖化合物 / X-線構造解析 / Through Space n_0→π^*Interaction / Through Space n_0→σ^*Interaction / 立体選択的プロトン化 / 立体選択的アルキル化 |
Research Abstract |
従来不可能であった双極子モーメントを一方向に揃え、直鎖化合物の立体配座を制御することを可能にする方法論としてのThrough Space n_0→π^*およびn_0→σ^*Interactionについて検討した。F→CNの新規空間的相互作用については、4-Fluoro-2-(4-hydroxyphenyl)decanenitrileのanti体のX-線構造解析により予想どおりフッ素とシアノ基炭素との間で擬5員環を結ぶ様に立体配座が固定化されており、van der Waals半径の和(3.17Å)よりも短く、F→CN間の新規空間的軌道相互作用の存在が確認できた。この新規相互作用を立体選択的反応に応用できれば直鎖化合物の立体配座を制御できたことになる。そこで4-Fluoro-2-(4-methoxyphenyl)decanenitrileのsyn/anti=1/1の混合物にブチルリチウム(1.2当量)を作用させてシアノ基のα-位のアニオンを発生させ、各種の嵩高い酸によるプロトン化反応を検討した結果、HMPAを5当量添加した時、syn/anti=5.3/1の立体選択性(1,3-不斉誘導)が発現した。また各種アルキル化反応においても同様に4.5〜5.6/1の立体選択性が観察された。これらの事実はリチウムカチオンフリーのシアノ基アニオンのシアノ基炭素とフッ素間の上記新規空間的軌道相互作用が溶液中でも発現した結果と解釈できる。従って、直鎖アルキル基の立体配座の固定化の新しい方法論を提供できたと云える。また、計画書に記載した他の基質(ハロゲン→CN、S→CN,ketone carbonyl O→CN,N-oxide O→CNなど)のThrough Space n_0→π^*相互作用、O→C-XのThrough Space n_0→σ^*Interactionのについても検討した。
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