1999 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異的に発現するジヒドロジオール脱水素酵素に関する研究
Project/Area Number |
11672175
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 明 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00094334)
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Keywords | ジヒドロジオール脱水素酵素 / D-キシロース脱水素酵素 / 新規蛋白質ファミリー / 構造機能相関 / 部位特異的変異 / 非ステロイド性抗炎症薬 |
Research Abstract |
本研究の目的は哺乳動物において組織特異的に発現する二量体のジヒドロジオール脱水素酵素の構造と機能および臨床的意義を明らかにすることである。本年度に得られた成果を以下に要約する。 1.二量体のジヒドロジオール脱水素酵素の構造と機能の相関 (1)カニクイサルと日本サル腎臓、ブタ肝臓、イヌ肝臓、ウサギ水晶体及びヒト小腸の本酵素cDNAをクローニングした。2系統のサルとヒトの酵素は94-100%、ブタ、イヌ、ウサギの酵素とは82-85%相同性であった。本酵素はいくつかの機能未知な微生物の遺伝子産物およびグルコースフルクトース酸化還元酵素と14-25%の相同性を示し、これらの蛋白は新規な蛋白質ファミリーを形成することが示唆された。 (2)上記の蛋白質ファミリーに保存され水素転移に関わると予測される残基(チロシンとヒスチジン)を部位特異的に変異させた酵素の性質を解析した結果、本酵素の触媒アミノ酸残基であるチロシンおよび活性部位の構造維持に関わる残基が示唆された。 (3)本酵素はNADP-依存性D-キシロース脱水素酵素と同一であり、生理的には糖代謝に関与することが明らかになった。 (4)本酵素の結晶化を行うため、より効果的な大量発現系を構築した。 2.臨床的意義 (1)本酵素の阻害薬物の検索。非ステロイド性の抗炎症薬、腎機能診断薬、プロメタジン、クロラムフェニコール、フラボン誘導体が本酵素を阻害した。その速度論的な阻害様式は薬物により異なったが、強い阻害を示す薬物は基質に対して拮抗阻害し、その共通な基本構造は4-ヒドロキシフェニルケトンであることが示唆された。 (2)疾患に伴う本酵素の変動を分析するため、ヒト組織の生検試料中のmRNA、タンパク及び活性の測定法を確立した。
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Research Products
(1 results)