2000 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞の腹膜への接着反応におけるVLA-3インテリンの役割
Project/Area Number |
11672192
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
辻 勉 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00143503)
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Keywords | インテグリン / VLA-3 / 細胞接着 / ラミニン / 細胞外マトリックス / 腹膜転移 |
Research Abstract |
胃癌の腹膜転移の初期過程においては,インテグリンなどを介するがん細胞と腹膜との接着反応が重要であると考えられている.本研究において,VLA-3インテグリンの発現が高い胃癌細胞が腹膜転移を起こしやすいという臨床成績に基づき,この機序の解明を目的として研究を行ったところ,VLA-3インテグリンががん細胞の腹膜への接着に直接関わっていることが判明した.そこで,本年度の研究では,VLA-3インテグリンの腹膜側のカウンターリガンドについて解析した. 1.VLA-3インテグリンに対して高親和性のリガンドとして最近明らかになったラミニン5および10/11について,マウス壁側腹膜と横隔膜における両ラミニンバリアントの発現をRT-PCR法によって分析した.その結果,これらのラミニンバリアントのmRNAが検出され,腹膜側のリガンドとなっていることが推測された. 2.腹膜を緩和な条件でトリプシン処理し中皮細胞を剥がすことによってVLA-3インテグリン依存性の接着が高まった.また,単離した中皮細胞をin vitroで培養し産生される細胞外マトリックスに対してVLA-3インテグリン依存性の接着が認められた. 以上より,がん細胞膜のVLA-3インテグリンが腹膜の表面を覆っている中皮細胞に直接結合するよりも,何らかの原因で中皮細胞の間隙から露出する基底膜に存在するラミニンバリアントに対して結合することが腹膜転移の初期過程において重要であることが示唆された.
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