2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規物質を用いたグリシン受容体の機能制御部位の卵母細胞翻訳系での解析
Project/Area Number |
11672266
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高濱 和夫 熊本大学, 薬学部, 教授 (80150548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樹林 千尋 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80057330)
高宗 和史 熊本大学, 理学部, 助教授 (20206882)
石橋 仁 熊本大学, 薬学部, 講師 (50311874)
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Keywords | グリシン受容体 / デキストロメトルファン / ストリキニーネ / ツメガエル卵母細胞 / α1サブユニット / α2サブユニット / 点変異体 / 遅延整流性Kイオンチャネル |
Research Abstract |
昨年度までに実施した実験の成績から、モルヒナン構造をもつDMおよびコデインは、グリシン受容体のα1よりα2サブユニットに対して高い選択性をもつ初めての物質であり、DMは従来のグリシン受容体作用物質の作用部位とは別の、新規の部位に作用する可能性が示唆された。そこで、今年度はこの問題を、DMおよびその基本構造のモルファンの新規各種誘導体を用いてアフリカツメガエル卵母細胞翻訳系を用いてさらに追究した。また、DMの他のイオンチャネルに対する作用も急性単離脳単一ニューロンを用いて検討した。その結果以下の成績を得た。【実験成績】1)グリシンの感受性に関わる、159番目のフェニルアラニンおよび161番目のチロシンをそれぞれチロシンおよびフェニルアラニンに二重変異させたα1サブユニット受容体において、グリシンの作用のEC50は野生型で1.7×10^<-4>M、変異体では9.1×10^<-6>Mで感受性を19倍増加させたが、βアラニンの作用のEC50は4.23×10^<-6>M、野生型ではその値は2.8×10^<-4>Mで、その感受性は66倍増加した。この変異体におけるグリシンの作用に対するDMのIC50は、4.0×10^<-5>Mでストリキニーネのそれは4.3×10^<-9>M、一方、βアラニンの作用に対するIC50は、DM7.91×10^<-5>M、ストリキニーネ1.28×10^<-8>Mであった。2)新規に合成した11個のモルヒナン誘導体のグリシン誘発電流に対する作用をα1サブユニット受容体を用いて検討した結果、増強作用を示したものはなかった。しかし、これらの化合物群の中で,モルファン骨格の1位にプロピル基、2位のNにチオアミド基やスルフォン基が結合したもの、およびベンジル基が結合したものはグリシン誘発電流を抑制した。3)脳単一ニューロンにおいて、DMは遅延整流性Kイオンチャネルを抑制した。以上の成績から、DMはグリシン受容体上に、ストリキニーネとは異った作用部位をもつこと、また、DMのモルファン骨格がグリシン誘発電流を修飾するのに必要な構造の一部である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hitoshi Ishibashi,Kouichi Kuwano,Kazuo Takahama.: "Inhibition of the 5-HT_<1A> receptor-mediated inwardly rectifying K^+ current by dextromethorphan in rat dorsal raphe neurons"Neuropharmacology. 39. 2302-2308 (2000)