1999 Fiscal Year Annual Research Report
老年期痴呆患者の残存機能に影響を及ぼす調理活動の効果 -KOMIチャートシステムを用いた評価-
Project/Area Number |
11672399
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Research Institution | Ainogakuin College |
Principal Investigator |
横山 ハツミ 藍野学院短期大学, 看護学科, 講師 (20280076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 芳武 藍野学院短期大学, 看護学科, 教授 (80079730)
金井 一薫 日本社会事業大学, 教授 (10215402)
堺 俊明 藍野学院短期大学, 学長 (20084874)
足利 学 藍野学院短期大学, 看護学科, 非常勤講師
辰巳 恵子 藍野学院短期大学, 看護学科, 助教授 (20188270)
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Keywords | 老年期痴呆 / 調理活動 / KOMIチャート / 残存機能 / アクテイビティケア |
Research Abstract |
老年人口の急増と共に痴呆性高齢者の数は増加の一途を辿っており,看護・医療上のみならず,社会的にも深刻な問題となってきている。従って,老年期痴呆患者の残存機能を維持し高めることが重要である。脳の一次中枢を刺激する調理活動は経験・知議・判断などの陳述記憶や条件反射・熟練運動などの手続き記憶に有用であるといわれている。 そこで,本年度はパイロット・スタディとして,調理活動に参加することにより関心・自発性・意欲向上などの情動の活性化をチェックする目的で以下のことを実施した。 1.大阪府下の藍野学院関連施設に入院中の高齢者14名を,調理活動実施群7名(男性1名,女性6名,平均年齢73.7±5.1歳)および調理活動非実施群(統制群)7名(男性3名,女性4名,平均年齢81.6±10.3歳)の2群に分けて実施した。 2.各群の対象者に対し,個別にKOMIチャートによる認識面・行動面の観察評価と自己評価式抑うつ性尺度を用いて,調理活動の実施前と実施後に謂査・分析した。 3.KOMIチャートとSDS調査・分析結果から,調理活動実施群では,調理活動非実施群に比べて,入院生活での楽しみが増え,抑うつ気分が解消したり,長期入院患者では抑うつ気分が悪化するのを抑制した。特に将来に希望が持てるようになったり,自分は役立つ人間と思えるようになったりという,心理的随伴症状の改善がみられた。 4.調理活動実施群では,非実施群に比べて,KOMIチャート認識面第3分野(変化・健康)の項目と行動面第3分野(役割・小管理)の項目において有意な改善が認められた。すなわち,日常生活でも,自分から身支度をしたり,同室者に声をかけたり,調理の役割分担を実行したり,セルフケア能力を発揮できるようになるなどの改善が認められた。 5.次年度以降は,今回得られた結果をもとに,痴呆患者を対象に系統的な研究を実施する。
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