1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680060
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 勝紀 愛知工業大学, 基礎教育系健康科学, 助教授 (10165326)
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Keywords | ウェーブレット補間 / MPV年齢 / 女子運動選手群 / 非運動選手群 / 初潮年齢 |
Research Abstract |
【目的】女子運動選手の初潮遅延については、そのメカニズムについての仮説は構築されている。つまり、トレーニングにより体脂肪量に対する徐脂肪量の割合を上げることにより、性腺刺激ホルモンや卵巣ホルモンの血中循環レベルを変化させることが初潮遅延のメカニズムと仮設されるのである。しかしながら、この証明はまだ成されていない。そこで、この証明のために、女子個人の成熟度年齢と初潮年齢の差を求め、その差を非運動選手群と比較することにより初潮遅延の検証へアプローチするものである。ここで、成熟度の基準となる年齢として思春期ピーク年齢(MPV年齢)を特定する方法はウェーブレット補間法を適用する。【方法】1、資料 運動選手群として、高校在学中に優秀な戦績を修めた東海地区の女子大学1年生60名を対象に健康診断票の調査をし、小学1年から高校3年までの身長と体重の縦断的発育データを得た。また、アンケート調査により初潮年齢と小学、中学、高校における運動実施状況を調査した。また、非運動選手群として某女子大学1年生を対象に運動選手群と同様に調査され、75名の資料が得られた。2、解析手法 1)身長のMPV年齢(Maxmum Peak Velocity:最大発育速度年齢)をウェーブレット補間法で特定する。2)MPV年齢を運動選手群と非運動選手群で比較する。3)MPV年齢と初潮年齢の差を求め、両群でその差を検討する。【結果および考察】 先ず、運動選手の初潮年齢は12.59歳(SD=1.17)、非運動選手の初潮年齢は11.90歳(SD=1.17)で両群においては有意差(P<0.05)が認められた。つまり、運動選手群の方が初潮年齢は遅いことが示された。しかし、この結果だけからではトレーニングによる初潮年齢の遅延の証明にはならない。それは、女子運動選手は元来から成熟度が遅い傾向にあるからである。この事実は筆者やMalinaが報告している。したがって、成熟度を両群で比較する必要がある。その結果、身長のMPV年齢を両群で見ると、運動選手群は11.18歳(SD=1.17)、非運動選手群は10.94歳(SD=1.17)で有意差は認められなかった。そして、このMPV年齢と初潮年齢の差を両群で比較したところ、運動選手群で1.40歳(SD=1.01)、非運動選手群で0.96歳(SD=1.18)となり明らかに有意差(P<0.05)が認められ、運動選手の初潮遅延が示唆された。
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Research Products
(2 results)