2000 Fiscal Year Annual Research Report
油のフライ加熱時に生じる有害な油酔い成分の解明とその生成防止
Project/Area Number |
11680129
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
福田 靖子 静岡大学, 教育学部, 教授 (40141444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 映子 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90134783)
熊澤 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (10295561)
内田 浩二 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40203533)
|
Keywords | アクロレン / 油酔い / ELISA法 / 油の熱酸化 / 生体傷害 |
Research Abstract |
環境汚染中の有害物質であり,タバコの煙,自動車の排気ガスに含まれるアクロレイン(CH_2=CHCHO)等低分子不飽和アルデヒド類はフライ時に油の分解により生じる可能性が高い.大量調理における長時間におよぶフライ操作時には「油酔い」と言われている一過性のむかつき症状を経験するが,この要因物質としてアクロレイン等の反応性の高いアルデヒド類が推測される.内田らは生体内脂質過酸化過程で生じるアクロレイン等が生体タンパク質と結合し,細胞等に傷害をもたらすことを特異性の高いELISA法を用いて明らかにしている.フライ時の「油酔い」症状も生体傷害の一つと推測され,ELISA法によりアクロレイン生成量を検討した. H11年度は油加熱時に発生するアクロレインの捕集法の検討,添加回収率,油の種類によるアクロレイン生成量の比較等を行い報告した.H12年度は次の結果を得た. 1)生体内タンパク質のモデルとして脂質消化酵素(リパーゼ)を選び,アクロレイン添加によるリパーゼ活性阻害で調べ.顕著なリパーゼ活性の低下を認めた.酵素タンパク質がアクロレインにより修飾されたものと推定された. 2)H11年度に焙煎ゴマ油に高いアクロレイン生成抑制作用を認めたことから,その要因を検討し,新たに抗酸化物質としてセサミノールを同定した.このセサミノールは種子中の配糖体から焙煎時に生成したものと推定された. 3)焙煎種子油の種子焙煎時に生成する褐変区分(メラノイジン)は一般的に還元力を持つことから,共存する抗酸化物質にプロトンを供与し,抗酸化物質を再生する役割を担いアクロレイン生成を強く抑制したものと考えられた. 4)大量調理時の油の酸化防止剤(アクロレイン生成抑制剤)として,天然素材である竹炭が有用であることを竹の炭化温度との関係から明らかにした.
|