2000 Fiscal Year Annual Research Report
地震活動と地殻変動の統計的解析のための時空間モデル開発
Project/Area Number |
11680334
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
尾形 良彦 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 教授 (70000213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 整尚 統計数理研究所, 予測制御系, 助手 (60280525)
樋口 知之 統計数理研究所, 予測制御系, 助教授 (70202273)
種村 正美 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 教授 (80000214)
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Keywords | 点過程 / ETASモデル / 時空間ETASモデル / トリガーモデル / 余震数(クラスタ・サイズ) / ベイズ的推論 / Time-Predictableモデル / 確率的除群法 |
Research Abstract |
本年度の成果は基本的に以下の二つの柱からなり、論文にまとめられている。 (1)地震活動は余震活動の重ね合わせであるとの仮定で作成した点過程ETASモデルは余震の減衰p値や地震のマグニチュードの余震数に対する按分係数などが同じと仮定したものである。これに対して各地震についての余震活動の特徴を同じものとしないモデルを考え、最尤法で推定可能であることが確認できた。これに基づいて、マグニチュードが与えられていない、発震時刻のみのデータから対応する余震数(クラスタ・サイズ)を推定し、これからマグニチュードを推定する方式を提案できる。1926年以来の日本全体での大地震の余震数を推定クラスタサイズで求めマグニチュードに対するプロットをすると陸域の地震と海域の地震では余震生成密度に明瞭な違いが見えた。1995年兵庫県南部地震の余震の空間分布とそれらの余震のクラスタサイズ分布は必ずしも余震のマグニチュードと対応しない。またクラスタサイズの大きな余震の震源は余震域の境界部分に多く分布することが見えた。 (2)固有地震と思われるデータに対して更新過程の分布のパラメタが推定されると、それを危険度関数に代入して次の地震発生の確率予測を出す。しかしデータ数が少ないとき最尤推定値を採用すると、予測危険度関数の誤差が大きいだけでなく危険度関数や確率予測について偏りが生ずる場合がある。予測危険度関数の誤差や偏りを調べるには尤度関数(事後分布)全体を見ることが必要である。本研究ではベイズ的推論を採用し、まず南海地震の歴史的発生年データに対数正規分布型更新過程を当てはめ、予測危険度関数の誤差分布について議論した。さらに地震に伴った隆起量が与えられている最新の3つの南海地震の発生データに当てはめるために、地震発生間隔を隆起量で規格化したものが同じ分布に従うと仮定するTime-Predictableモデルの更新過程の拡張版に当てはめ、その予測危険度関数の誤差について議論した。以上の2種類のデータに当てはめた2種類のモデルは平均的な確率予測にも互いに無視できない違いが見られた。 この他、時空間ETASモデルに基づいた確率的除群法の実現、世界のデータに基づく大地震発生の引き金現象の統計的研究などが成果として論文に取りまとめられている。
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