1999 Fiscal Year Annual Research Report
トランスリンの神経細胞におけるBC1RNA輸送と樹状突起内タンパク合成への関与
Project/Area Number |
11680765
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安西 偕二郎 日本大学, 薬学部, 教授 (30114359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊亮 日本大学, 薬学部, 助手 (60256906)
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Keywords | BC1RNA / 脳 / 樹状突起RNA / RNA輸送 / 樹状突起内タンパク合成 / RNP / トランスリン / RNA結合タンパク |
Research Abstract |
BC1RNAは神経細胞で選択的に発現し樹状突起へ輸送される。我々は、このRNAにトランスリンが結合する事を報告した。またそのタンパクが細胞骨格結合性であるとする他のグループの知見から、トランスリンがBC1RNAの樹状突起輸送に関与すると考えた。しかしながら、その後の我々の解析ではトランスリンの細胞骨格結合性を確認する事はできず、もう一つ別のBC1RNA結合タンパク(最近それがpurαとβである事がわかった)が細菌骨格に結合する事を見出した。それらpurαとβおよびトランスリンについて、今年度得られた結果は次の通りである。 1 トランスリン、purαとβは、ともにBC1にある樹状突起輸送シス配列に結合するが、後者の特異的結合性に対しトランスリンの結合特異性は低かった。2 シス配列に対する結合は、両者の間で互いに競合した。現在トランスリンがpurαとβのBC1結合に対して及ぼす作用について解析している。3 トランスリン、purαとβはともに神経細胞に最も多い。脳の成長過程における両者の量的変化について調べたところ、トランスリンの量には胎生期から成熟期まで変化が見られないのに対し、後者はBC1の増加と同様の時間経過で出生後10日目頃から増加した。トランスリンがBC1と結合しているのに対し、purαとβは細胞骨格に結合している。両者が樹状突起輸送で相互作用する可能性を示唆する結果と考えている。両者の相互作用についてイーストを用いて調べる準備を進めている。上に述べた理由で、purαとβの解析に時間を費やした事、トランスリンペプチドに対する抗体の特異性が低かった為、抗体を作り直した事などにより、現在のところトランスリン自体に対する知見は十分とは言えない。しかしながら、最近になって特異抗体を得る事ができた事、purαとβに関するデータが十分に得られて来た事などから、これら二つのタンパクがBC1の輸送にどのように関与するが、初代培養神経細胞を使い、取り組む予定でいる。なお、purαとβの知見は、現在投稿中である事や本研究課題と直接関係するものではない事などから、本報告では最小限に止めてある。
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