2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国チベット高原の農業生態系における継続性ある生物生産に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11691169
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
本江 昭夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30091549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 啓助 信州大学, 理学部, 助教授 (60145662)
岩間 和人 北海道大学, 農学部, 教授 (70144219)
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
稲村 哲也 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00203208)
山本 紀夫 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (90111088)
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Keywords | チベット高原 / ヤク / ヒツジ / 遊牧 / コムギ / オオムギ / 熱と水収支 / 気孔 |
Research Abstract |
平成12年8月30日〜10月22日に、本江、稲村、山本は、チベット自治区東部へ行き、ヤクとヒツジの遊牧を主体とする牧畜業と、コムギとオオムギを主体とする農業の現状について調査した。さらに、平成12年5月25日6月6日に、高橋、鈴木は、チベット自治区のラサの東40kmにある中国科学院農業生態実験站、および、西部の当雄において、コムギ畑の熱・水収支、葉面積と気孔の挙動、降水および地下水の電導度・pHを測定し、低炭酸ガス濃度、低水蒸気圧というチベット高原特有の低圧環境の特性と作物の反応を調査した。 一般の畑では、標高3800m以下でオオムギとコムギが栽培されていた。これより標高の高い所では自然草原を利用した、ヤクとヒツジの遊牧が行われていた。今回調査したチベット東部は、湿潤、温暖な気象条件下で針葉樹林があり、前年に調査した中部とは全く異なった景観であった。林芝では、水田、リンゴなどの果樹栽培も行われていた。ムギ畑に多数侵入している雑草エンバクを、雑草としてではなくて、青刈り用飼料として利用していることを観察した。 以前はオオムギ栽培が主体であり、チベット族の人はザンパ(ムギこがし)を主食としていた。しかし、漢族の人が増加するにつれ、コムギを主体とする食生活へと変化していることを、前年に続いて観察した。コムギ栽培が拡大している理由として、化学肥料の利用にともなうコムギの単収の増加が大きいことが判明した。 ラサ近郊では、ジャガイモやトウモロコシなどの栽培、あるいは、トマト、ナスなどをビニールハウスで栽培するケースが増大していた。都市住民の所得増加が消費生活の水準を高くしていることが確認された。同時に、地方の農民との所得格差が拡大していることも確認できた。
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Research Products
(2 results)