2000 Fiscal Year Annual Research Report
べトナム小児の摂取栄養素と寄生虫感染がアレルギーに及ぼす影響
Project/Area Number |
11691211
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
太田 房雄 徳島大学, 医学部, 教授 (90035478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10209083)
前田 健一 徳島大学, 保健管理センター, 助教授 (30238860)
山本 茂 徳島大学, 医学部, 教授 (70093896)
グエン・ヴァン・チュウアン 日本大学, 家政学部, 教授 (80175322)
小松 龍史 徳島大学, 医学部, 助教授 (30215389)
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Keywords | IgE抗体 / 鞭虫 / 回虫 / 病原性大腸菌 / 栄養調査 / アレルギー / BMI / 寄生虫感染 |
Research Abstract |
昨年度に続き、ハノイ市内にある小学校児童(10歳から11歳)男女併せて95名につき栄養調査、アレルギー調査および彼らの糞便中の寄生虫卵と細菌検査、さらに採血中のIgEおよび生化学的検査を行った。 栄養調査とアレルギー調査については調査票でベトナム語による聞き取りにて、寄生虫卵については、長崎大学の藤巻講師、徳島大学大学院栄養学研究科博士前期課程の学生が趣、現地の研究員とともに実施した。血清と糞便の細菌検査は、現地に検査設備がないので、ベトナム保健省の許可を得て日本へ搬送して日本で行った。 結果として、対象者のうち約80.9%が回虫、便虫、鉤虫の虫卵が便中に検出され、1gの糞便中にいる卵の数が10,000以上の者が57.6%で、血清中のIgEは寄生虫卵陽性者と相関関係を示し、82.6%が120ng/ml(ベトナム人の標準値)であった。一方、BMIを調べると、男女併せて39.8%が痩せの状態、58.0%が平均的栄養状態、肥満を示すものはわずかに2.3%であった。寄生虫感染率は、栄養状態の3群でほぼ同率の感染率であった。これに対して、糞便の細菌検査では、赤痢菌、腸チフス菌、コレラ菌は検出されなかったが、病原大腸菌は85名のうち24例で検出され、中には0157も検出された。現地の事情でアレルギー調査の集計ができていないが、聞き取り上ではにアレルギー症状を示す者は日本よりはるか少なかった。これらの調査の結果、寄生虫の感染とアレルギーは無関係と考えられ、先進国におけるアレルギー発症増加の原因は、食生活を含めた環境要因に起因することを示唆し、当初計画したような点を明らかにできる可能性が高くなった。しかし、言語問題、習慣の問題や現地との通信手段の困難さにより、計画の実施がややも遅れがちであり、現地では検査用器具類の不足により、なかなか計画通りに実施することに困難さを感じた。 平成14年度には症例を増やして実施すると、当初の点を解明できる良い結果が期待できる。本年度は、太田、山本、藤巻がハノイへ派遣前後に博士前期課程の学生を同時に派遣したので、人的交流がより親密となり、今後の両国の交流に大変役立つと考えられた。
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