1999 Fiscal Year Annual Research Report
香港で発生した新型H5インフルエンザウイルスの起源と変異---宿主域制限および病原性決定因子の分子基盤
Project/Area Number |
11694210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00176348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀本 泰介 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (00222282)
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 教授 (10109506)
大槻 公一 鳥取大学, 農学部, 教授 (00032293)
河岡 義裕 東京大学, 医科学研究所, 教授
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Keywords | インフルエンザウイルス / ヘマグルチニン / 宿主域 / 家禽ペスト / 病原性 / 鶏 / 開裂 / レセプター |
Research Abstract |
本研究の最終目的は新型インフルエンザウイルス流行のメカニズムの分子基盤を明らかにすることである。具体的には1997年の香港における新型H5インフルエンザ流行時に、現地で申請者自らが感染源と考えられる鳥類から分離したH5ウイルスの性状解析を実施し、これらのウイルスが(1)どこから来たのか?(2)何故、宿主の壁を乗り越えてトリからヒトに感染したのか?(3)哺乳動物にどのような病原性を持っているか?について分子レベルで解明を試みる。まず、本年度の実験成績から以下のことが明らかとなった。 (1)香港で分離されたH5ウイルスは2つのグループに分かれた。一つはマウスに対して脳を含む全身で増殖し、高い致死毒性を有するグループで、もう一つはマウスに対して呼吸器以外では増殖性を示さない中等毒の性状を示すグループである。このことは、哺乳動物において、インフルエンザウイルスの全身性増殖を規定する因子は複数存在することを示している。 (2)遺伝子の系統解析の結果から、両グループのウイルスともすべての遺伝子が他のウイルスとは異なる系統に属しており、既存のヒト流行株との遺伝子再集合は起こしていないものと考えられた。 (3)香港で分離されたH5ウイルスは過去に世界中で家禽から分離されたH5ウイルスと比較してヒトの気管上皮細胞での増殖性が強い傾向が認められた。 以上の成績から、香港H5ウイルスは鶏から直接人に伝播したことはほぼ間違いないと考えられた。次年度はこれらのウイルスのレセプター特異性の違いについてさらに詳細に比較解析すると共にレセプター特異性以外の宿主域規定因子について実験モデルを用いて検討を試みる計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Peng,G: "Biologic heterogeneity,including systemic replication,of H5N1 influenza A viruses isolated from humans in Hong Kong"J.Virol.. 73(4). 3184-3189 (1999)
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[Publications] Ito,T.: "Receptor specificity of influenza A Viruses from sea mammals correlates with lung sialyloligosaccharides in these animals"J.Vet.Med.Sci.. 61(8). 955-958 (1999)
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[Publications] Ito,T.: "Replacement of internal protein genes,with the exception of the matrix,in equine 1 viruses by equine 2 influenza virus genes during evolution in nature"J.Vet.Med.Sci.. 61(8). 987-989 (1999)
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[Publications] Masuda,H: "Substitution of amino acid residue in influenza A virus hemagglutinin affects recognition of glycosphingolipid containing N-glycolylneuraminic asid"FEBS Letters. 464(1). 71-74 (1999)
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[Publications] Sinya,K.: "Avian influenza virus intranasally inoculated infects the central nervous system of mice through the general visceral afferent nerve"Arch.Virol.. 145(1). 187-191 (2000)
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[Publications] Ito,T.: "Host range barriar of influenza A viruses"Vet.Microbiol.. (発表予定). (2000)