1999 Fiscal Year Annual Research Report
セミパラチンスクにおける晩発性放射線障害の合同調査
Project/Area Number |
11695088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
関根 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (60039922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 医学部, 助手 (00233198)
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
藤井 徹 長崎大学, 医学部, 教授 (60136661)
高村 昇 長崎大学, 医学部, 助手 (30295068)
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Keywords | 放射線発癌 / 甲状腺癌 / 皮膚法 / ret / PTC |
Research Abstract |
1995年からセミパラチンスク周辺の学術予備調査を開始し、カザフスタンの核汚染の実態解明に尽力してきた。その経緯から1996-2000年とセミパラチンスク医科大学から研修生を招聘し、次年度よりセミパラチンスク医科大学の外科医1名がが研究代表者の教室の大学院生となるべく来日し現在日本語研修を行なっている。1998年3月4日両校の学長の署名の下姉妹校関係が締結され、新たな共同研究関係が構築されている。セミパラチンスク医科大学では、核爆発実験場(ポリゴン)の放射能降下物の健康影響と、各処理工場、プルトニウム抽出、ウラン採石、精錬等の労働者への環境汚染物質による健康影響という二面性の研究が必要となっている。そこで昨年、まず病理ならびに遺伝子解析を行なった。得られた患者検体(がん組織、病理標本、血液)からDNAまたはRNAを抽出し、がん発生に関連する標的遺伝子群(p53、ras、gli、ret/PTC)のPCRを行い、塩基配列を決定している。今回セミパラチンスク被爆地の甲状腺癌の癌遺伝子ret/PTCの変異を世界で初めて報告した(Lancet354:1528-29,1999)。カザフスタンでの研究費の調達は困難であるため、日本側からは、現地での標本や患者データ収集のための使役費やコンピュータ化への準備を支援し、セミパラチンスク核実験場のがん登録を整理し、被曝の状況を明らかにすることにより解析の基盤となるデータバンクの確立に務めている。また衛星通信を利用した画像を含めた情報のやり取りが、昨年8月より開始された。申請者グループは本研究成果を踏まえ、新たに放射線誘発がんの本態が明らかにすべく、環境因子との相互作用による癌化の機序解明と、新たな治療法や予防法の確立をめざしている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] G.Alipov,N.Takamura,M.Ito.et al: "Ret/PTC rearrangement in thyroid cancer around semipalatinsk nuclear testing sites"Lancet. 354. 1528-1529 (1999)
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[Publications] T.Ito,M.Ito,S.Naito.et al: "Expression of the axl receptor tyrosine kinase in human throid carcinoma"Thyroid. 9・6. 563-567 (1999)
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[Publications] Y.Shibata,S.Yamashita,M.Hoshi,et al: "Chernobyl Sasakawa Health and Medical Cooperation Project"Elvesier Sci. 613 (1999)
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[Publications] S.Yamashita,M.Ito,K,Ashizawa et al: "Radiation and Throid Cancer"World Science. 523 (1999)