1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710037
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
下村 満子 大阪市立大学, 学術情報総合センター, 講師 (30235692)
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Keywords | 熟語 / 漢字 / 認知 / プライミング効果 |
Research Abstract |
まず漢字の独立性を連続的に表現するための予備調査として高校教科書の語彙調査資料に基づく調査を行った後、被験者に漢字1文字の「単語らしさ」を評定してもらう調査を行った。その結果、漢字を「1文字で語として機能するタイプ」「熟語の部分としてしか機能しないタイプ」「中間のタイプ」の3タイプに分類し、部分反復プライミング実験を行った。ターゲットは高校教科書に比較的高頻度に出現する漢字2文字熟語、プライムは熟語の1文字目(repetition condition)または関連のない漢字(non-repetition condition)であった。課題はターゲットに対する語彙性判断課題であった。刺激系列は、forward mask、プライム、backward mask、ターゲットからなり、プライムとターゲットのSOAを30、50、70msecの3条件とした。実験の結果、repetition conditionにおいてnon-repetition conditionよりもターゲットの処理が促進されるプライミング効果が得られた。またプライミング効果は、SOAが長い方が大きいことも明らかになった。さらにプライムのタイプとSOAの間に交互作用の傾向が見られ、部分としてしか機能しないタイプの漢字と中間的タイプの漢字がプライムの場合には、SOAが長くなるに従ってプライミング効果が大きくなるが、1文字で語として機能するタイプの漢字がプライムの場合には、SOAが50msecのときに最もプライミング効果が大きくなり、70msecでは小さくなった。今回の実験ではこの交互作用は有意ではなかったが、非常に興味深い結果であり、今後さらに検討する。尚、本実験の結果は、Annual Convention of American Association for Applied Linguisticsにおいて発表した。
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