1999 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆高齢者のトイレの間違えに関する認知心理学的接近
Project/Area Number |
11710051
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 克夫 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (50282314)
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Keywords | 痴呆 / 高齢者 / 失見当識 / トイレ |
Research Abstract |
痴呆高齢者の中には暗いすみの壁に方便したり,洗面台に座って大便をしたりしてしまう者が存在する。これは,中枢性の異常や泌尿器そのものの異常による失禁とは性質が異なり,いわゆる「勘違い」による現象である。現在のところ,この問題のメカニズムや対処法について科学的に検討した報告はみあたらない。そのため,医療・福祉の現場では,「よく放尿するところに鳥居を描くとよい」など,経験的な方法や口コミ情報に頼っているようである。そこで,今年度の研究ではまず,老人保健施設等の職員に対して痴呆高齢者のトイレの間違いにはどのようなものがあり,どのように困っているのか,どのような対応を行っているのか詳しく実態調査を行うこととした。本年度は,関東地域の一部地域の老人保健施設に限り,予備調査を行ったところ,トイレに限らず,施設内の場所等の間違えは日常的に存在し,その対応等に困惑していることを把握するに至った。それらの対処については,具体的な資料や研究をもとに行っている施設は少なく,施設員で話し合い,例えば,場所の表示を大きくする,目印をつけるなどの試行錯誤的な環境的な試みを行っているが,有効と感じるものは存在していない。そのため,できるかぎりスタッフが見回ることや付き添いをするなどの介助的なアプローチがとられているのが現状であった。今後はより広い地域で本調査を実施する予定であり,それらの結果をあわせて老年行動科学学会,老年精神医学会等で発表を行う予定である。また,今回,調査を実施した施設に依頼し,実際の認知環境的な対処法を試行するつもりである。
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Research Products
(1 results)