1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福嶋 路 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70292191)
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Keywords | 産学連携 / ネットワーク / 地域 |
Research Abstract |
本研究は、地域に存在するネットワークに焦点をあて、それが地域の企業活動に及ぼす影響やそのメカニズムについて研究することを目的としてきた。本年度は、岩手大学の産学連携活動と、岩手大学を中心として形成されたネットワーク、「INS(岩手ネットワークシステム)」の事例を取り上げ、参与観察調査、インタービュー調査を行なってきた。そしてINSの概要、形成の経緯、社会的機能などを考察してきた。 INSは産学官(最近は民も含めている)を横断するインフォーマルなネットワークであり、いまや岩手県における一つの革新的活動の基盤ともいえる存在になっている。INSは現在総勢700名余の会員を擁している。岩手県のみならず他県からの参加も多い。INSは1980年代に現状に危機感をもつ岩手大学の教官、岩手県の県職員の飲み会からはじめられ、彼らが現在も中心となって研究会、シンポジウム、講演会等の行事の運営主体となっている。INSは岩手県における様々な革新的活動の拠点となっている。INSというネットワークの社会的機能として、会員の啓蒙のみならず、人と人が出会う機会(場)の提供、産学連携の基盤作りといった点が挙げられる。つまりINSはビジネスの可能性を高めるための場として機能しているのである。 INSのような社会的ネットワークは、産学連携に対して大きなインプリケーションを与えるものと思われる。近年産学連携は地域活性化の一手段として注目されているが、岩手県の事例を見る限り、これを可能とするためには地域ネットワークと密接な連携が重要であると思われる。 来年度以降は、このような仮説に基づき、産学官がいかなる関係を構築すべきかを問い直し、一つの産学連携のモデルを提示したい。さらにこのようなINSのようなネットワークを相対化するために他の地域のネットワーク(アメリカなど)の調査を行うことを計画している。
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Research Products
(1 results)