1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業間のアウトソーシングにおいて組織間信頼の果たす役割の調査研究
Project/Area Number |
11730058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若林 直樹 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80242155)
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Keywords | 組織間関係 / 信頼関係 / 互恵的関係 / 品質管理 / 組織間学習 / 外注関係 / 日欧比較 |
Research Abstract |
今年度は、まず、互恵的な企業間の協力関係の日本的メカニズムについて理解を深めるために、電機産業を事例に具体的に外注関係にある大手企業と外注企業との間で品質管理問題での協力の過程とその手法について検討した。こうした点に関連して、既に藤本(1999)などが、自動車産業において詳細な検討を行っており、問題解決メカニズムの構築とそれに応じた外注企業側の開発活動や自主的改善活動の実施が大きな要因になっていることは明らかである。けれども、こうした相互期待の関係が、過去の実績に応じて変化することへの理解は乏しく、組織間での信頼関係の変動についての研究は、乏しい。特に、日本型信頼関係の実績に応じた変動を考えるために、本年は、2つの面から外注関係についての調査を行った。第一に、東北リコー、松下電器産業などの企業を対象に、外注企業との協力関係について、品質管理の側面から調査研究を行い、無権砂嚢乳性殿移行に伴って、発注の大手企業からの指導や出向研修などの人的情報交換活動のネットワークが分厚く展開されていることが理解された。第二に、欧州における日系合弁企業での企業間での品質管理活動に関しての調査を行い、欧州での事例と対比すると、日本での外注企業の取り組みが非常に互恵的な方向性であり、これが信頼を増すことにつながっていることが対比としてみられた。他方、欧州では、無権差納入制度で指導を行うものの、契約をもとにした協力関係や、国際品質保証認証取得による判断などが主であり、人的な情報交換は相対的に低く、互恵的な活動が弱いことが確認された。従って、系列においては、取引ネットワークが厚みのある人的ネットワークにのっているが、欧州の外注関係では、国際認証資格や契約などの制度的な次元で結合していることが理解される。開放的な取引関係での学習を考える上では、企業能力や分業を規定する制度環境の重要性が認識された。
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